"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

莉彩(りさ)。……おはよう」
「おはようございます」
 翌日。
 (せん)さんは、私の部屋に遊びに来た。
 少し埃っぽいけれど、芽以(めい)さんが一人で頑張って掃除してくれたのだ。
 感謝しかない。
「……悪かったな。こうなるまで、放っておいて」
 (せん)さんは、使用人たちをガラッと変えた。
 芽以(めい)さんは、引き続き私の専属使用人だ。
「いえ、そんな……」
 "花"を持たない私が、(せん)さんの妻であることを、認めたくなかったんだろう。
 ……私でさえ、相応しくないと思っていたのだから。
「これからは、定期的に帰ることにする」
 そう二人で微笑みながら話しているのを、誰かが見ていたことを、私たちは気付かなかった。