"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

「……(せん)さん。少し、お時間よろしいでしょうか?」
「……構わない。入れ」
 (せん)さんの部屋に入る。
 全く使わないくせに、とても綺麗な部屋だった。
 私の部屋とは大違いだ。
「……この前は、申し訳ありませんでした」
 (せん)さんの目を見ることができない。
「別に良い。……俺も、同情は嫌いだからな」
「……え?」
 同情が、嫌い……?
 同情されたことがあるってこと?
「俺は、愛人の子どもだ」
 突然、話し始める(せん)さん。
「そのせいで、学校で虐められていた。……それを同情されるのが嫌いなんだ」
 ……(せん)さんも、苦しい思いをしていたんだ……。
「もう良いか?仕事があるんだ」
「はい……」
 その時、初めて(せん)さんが私に心を開いてくれたのだと思った。