"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

「せっ、(せん)さま!?」
 突然、玄関のほうから大きな声が聞こえた。
 どうやら、急に(せん)さんが帰って来たみたいだ。
「本日は、どのような……」
「お前らが、莉彩(りさ)の身の回りの世話をさぼっていると聞いてな。……しかも、自殺未遂まで……」
 どうして、それを……?
「そっ、それは…………」
 (せん)さんと話していた使用人は、何も話せないようだ。
 そりゃそうか。
 身に覚えがありすぎるもんね。
「誰が伝えたの?」
 使用人室からは、紺野(こんの)さんの怒りが伝わって来る。
「……紺野(こんの)。どういうことだ?」
「わっ、私は何も知りません!他の人たちが、勝手にやったことで……」
 (せん)さんは、冷たい声をしていた。
 ……心の底から軽蔑するような。