"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

「お帰りなさいませ、(せん)さま」
 (せん)さまをお迎えする使用人たち。
 私は、その使用人たちの中にいた。
「夕飯、ご用意しております。どうぞ」
 案内する使用人からは、"紫陽花"の香りがした。
「奥さまには目もくれない。やっぱり、その程度の妻なのよ」
 どこかから、そんな声が聞こえた。
 ……分かってるよ、それくらい。
 政略結婚に、愛なんてないんだから。