"花"を持たない無能令嬢の身代わり結婚

「ねえ、あなたが莉彩(りさ)さん?」
「え……?」
 突然、窓の外から声が聞こえた。
 振り向くと、そこには私を冷たい目で見つめる一人の女性がいた。
「どちらさま、ですか?」
柳瀬(やなせ) (みお)です」
 (せん)さまの妹……?
「使用人たちが噂しているのを聞いて、気になったから来てみたの。……まさか、お兄ちゃんの妻が、"花"を持たない無能令嬢だなんてね。びっくりしちゃった」
 恐怖で、動けなくなる。
柳瀬(やなせ)家に、無能令嬢はいらないの。立場をわきまえて行動してね?」
 そう言い捨てて去っていく(みお)さん。
 私は、その後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった。