その数日後の放課後。
買い出しに向かったクラスメイトを待つため、葵は一人で校舎裏のベンチへ向かっていた。
ふと、体育館の影から話し声が聞こえてくる。
「え〜翔太、看板の装飾、俺たちの班の分もやってくれない?今日の夜、バイト入っちゃってさぁ!」
「え、あー......でも俺、今日中に委員の書類終わらせなきゃいけないから......」
「頼むよ〜!翔太なら手際いいしすぐ終わるだろ?ムードメーカーの頼みならみんな聞くしさ!お願い!」
「......はは、分かったよ。じゃあ置いておいて。なんとかしておくから」
「マジ!?サンキュ翔太、持つべきものが頼れる友達だな!」
軽快な足取りで去っていくクラスメイト。
残された翔太は、彼が見えなくなった瞬間、はぁぁぁ......と深く、重い溜息をついた。
いつもの太陽のような笑顔は完全に消え去り、壁に頭を預けて、心底疲れた顔で空を見上げている。肩が力なく落ちていた。
「......あなた、本当は無理して笑ってるでしょ」
静かな声に、翔太はビクッと肩を跳ねさせた。
振り返ると、柱の陰から葵が歩み出てくるところだった。
「あ、葵ちゃん!?いや、今のを聞いてたの?違うんだよ、俺が好きで......」
「好きでやってる顔じゃありません」
葵は翔太の目の前まで歩み寄ると、逃さないようにまっすぐその瞳を見つめた。
「誰にでも優しくて、誰の頼みも断れなくて、『明るい日向くん』でい続けるために、自分の気持ちを殺して一人で抱え込んでりう......そうでしょ?」
図星を突かれ、翔太は一瞬目を見開いた。
言葉を失い、喉を鳴らす。ずっと隠し通してきた、誰にも見せたことのない自分の「汚い部分」や「弱さ」を、あっさりと暴かれてしまった。
葵は静かに、けれど柔らかい手で翔太の制服の袖をちょんと引っ張った。
「私には、強がらなくていいです。......だって私たち、お互いの『一番人に見せたくないところ』を知っているんですから」
手帳のプレッシャーを見られた葵と、作り笑いの限界を見られた翔太。
翔太は呆然としたあと、ふっと自嘲気味に、どこか寂しそうに笑った。
「......参ったな。葵ちゃんには、なんでもお見通しか」
「当然です。あなたのパートナーですから」
翔太は少し目元を赤くしながら、葵の手を優しく握り返した。
「......ありがとう、葵ちゃん。なんか......すごく救われた」
二人がお互いの「裏の顔」を受け入れた瞬間、ただのクラスメイトや委員ペアという枠組みは完全に壊れ、お互いにとって「特別な存在」へと変わったのだった。
買い出しに向かったクラスメイトを待つため、葵は一人で校舎裏のベンチへ向かっていた。
ふと、体育館の影から話し声が聞こえてくる。
「え〜翔太、看板の装飾、俺たちの班の分もやってくれない?今日の夜、バイト入っちゃってさぁ!」
「え、あー......でも俺、今日中に委員の書類終わらせなきゃいけないから......」
「頼むよ〜!翔太なら手際いいしすぐ終わるだろ?ムードメーカーの頼みならみんな聞くしさ!お願い!」
「......はは、分かったよ。じゃあ置いておいて。なんとかしておくから」
「マジ!?サンキュ翔太、持つべきものが頼れる友達だな!」
軽快な足取りで去っていくクラスメイト。
残された翔太は、彼が見えなくなった瞬間、はぁぁぁ......と深く、重い溜息をついた。
いつもの太陽のような笑顔は完全に消え去り、壁に頭を預けて、心底疲れた顔で空を見上げている。肩が力なく落ちていた。
「......あなた、本当は無理して笑ってるでしょ」
静かな声に、翔太はビクッと肩を跳ねさせた。
振り返ると、柱の陰から葵が歩み出てくるところだった。
「あ、葵ちゃん!?いや、今のを聞いてたの?違うんだよ、俺が好きで......」
「好きでやってる顔じゃありません」
葵は翔太の目の前まで歩み寄ると、逃さないようにまっすぐその瞳を見つめた。
「誰にでも優しくて、誰の頼みも断れなくて、『明るい日向くん』でい続けるために、自分の気持ちを殺して一人で抱え込んでりう......そうでしょ?」
図星を突かれ、翔太は一瞬目を見開いた。
言葉を失い、喉を鳴らす。ずっと隠し通してきた、誰にも見せたことのない自分の「汚い部分」や「弱さ」を、あっさりと暴かれてしまった。
葵は静かに、けれど柔らかい手で翔太の制服の袖をちょんと引っ張った。
「私には、強がらなくていいです。......だって私たち、お互いの『一番人に見せたくないところ』を知っているんですから」
手帳のプレッシャーを見られた葵と、作り笑いの限界を見られた翔太。
翔太は呆然としたあと、ふっと自嘲気味に、どこか寂しそうに笑った。
「......参ったな。葵ちゃんには、なんでもお見通しか」
「当然です。あなたのパートナーですから」
翔太は少し目元を赤くしながら、葵の手を優しく握り返した。
「......ありがとう、葵ちゃん。なんか......すごく救われた」
二人がお互いの「裏の顔」を受け入れた瞬間、ただのクラスメイトや委員ペアという枠組みは完全に壊れ、お互いにとって「特別な存在」へと変わったのだった。



