正反対な僕たちは

クラスメイトたちが「じゃあなー!」「準備楽しみ!」と楽しそうに帰っていき、静まり返った教室。

オレンジ色の夕日が出し物のアイデアでびっしり埋まった黒板を照らしている。

葵がパソコンを閉じ、ふうと肩の力を抜いた。

「おつかれさま、葵ちゃん」

誰もいなくなったことを確認して、翔太が缶ジュースを二本持って葵の席に歩み寄ってきた。冷たいココアの缶を葵の頬にポンと当てる。

「ひゃっ......!冷たいです、翔太くん」
「あはは、ごめんごめん。はい、差し入れ。今日、葵ちゃんめちゃくちゃカッコよかったよ」

翔太は葵の隣の席に反対向きに座り、背もたれに顎を乗せて葵は見上げた。

「......カッコよくなんてありません。翔太くんが最初にみんなの意見をうまく拾って、場を温めてくれたからです。私一人じゃ、あんな風にクラスをまとめられません」

葵が素直にそう言うと、翔太は目を丸くしたあと、愛おしそうに目を細めた。

「俺たち、すごく良いペアになれそうだね」
「......そうですね。自慢のパートナーです」

葵が小さく微笑むと、翔太は一瞬息をのんだ。

「......ねえ、葵ちゃん」
「はい?」
「今の笑顔、クラスのみんなの前で見せなくて良かった」
「え?」
「だって......めちゃくちゃ可愛いから。俺だけの秘密にしておきたいじゃん」

夕日のせいだけではない赤さが翔太の耳まで広がっている。
葵はジュースの缶をぎゅっと握りしめ、胸の奥が痛いくらいに締め付けられるのを感じた。

「......バカ」

放課後の誰もいない教室。
文化祭の準備という新たな「二人だけの時間」が静かに動き始めていた。