なんでも実弥は呪具を取りに出ていたらしい。京の都の廃神社に置き捨てられているという六限鏡という呪具を前に忽然と姿を消したそうだ。
さらに鏡は場所を変え転移したらしく、覚は追うことが叶わなかったという。
しかし実弥の屋敷に集い話を聞いた蘆屋家一派の面々はざわついたものの、妖達の反応は呑気なものだった。
「サネミが死ねバ夜番頭の席はワシがもらおう」
「なにを言ってル、鴉天狗サマのものだ」
軽口を叩き、危機感などまったくなかった。
それだけ信頼しているのかもしれないが、念を捕らえて魂の欠片を封じるという六限鏡の特性を聞いた巴は胸騒ぎがした。
書物で知っている六限鏡は、情を封じられると人が変わるという。
「ひとまずもう少し様子を見ましょう。鴉天狗様は出払ってますし、六限鏡自体は癖がありますが実弥様は妖刀を所持してます。それにまだ囚われたと確定したわけでは……ーー」
真人は冷静に皆を宥めていたが、話し合いはすぐに紛糾し初め、その様子を遠くに感じながら巴はひとしきり押し黙ったあと、ひとり屋敷を飛び出した。
「あっ、待ってください!奥方様っ!?」
雲を集め、実弥との縁を探し空を飛ぶ。
遠くで真人の声が聞こえたが、しかし振り返る事はしなかった。
囚われることの恐ろしさを巴は痛いほど知っている。たとえ実弥が強大な術者だとしても、いま傍に行かなければ存在意義がない。
式神の自分なら主人である実弥を追跡出来るのだから、皆が見失ったとしても巴なら探し出せるのだ。
従属の縁は使役よりも強固。
あちらが呼び出してくれれば一瞬だが、あの実弥が巴に助けを求めるなどしないだろう。
呼ばれないなら、こちらから行くまでだ。
有事に役立たなくては恩を返せない。
契約とて妻であるのだから尚更だ。
さらに鏡は場所を変え転移したらしく、覚は追うことが叶わなかったという。
しかし実弥の屋敷に集い話を聞いた蘆屋家一派の面々はざわついたものの、妖達の反応は呑気なものだった。
「サネミが死ねバ夜番頭の席はワシがもらおう」
「なにを言ってル、鴉天狗サマのものだ」
軽口を叩き、危機感などまったくなかった。
それだけ信頼しているのかもしれないが、念を捕らえて魂の欠片を封じるという六限鏡の特性を聞いた巴は胸騒ぎがした。
書物で知っている六限鏡は、情を封じられると人が変わるという。
「ひとまずもう少し様子を見ましょう。鴉天狗様は出払ってますし、六限鏡自体は癖がありますが実弥様は妖刀を所持してます。それにまだ囚われたと確定したわけでは……ーー」
真人は冷静に皆を宥めていたが、話し合いはすぐに紛糾し初め、その様子を遠くに感じながら巴はひとしきり押し黙ったあと、ひとり屋敷を飛び出した。
「あっ、待ってください!奥方様っ!?」
雲を集め、実弥との縁を探し空を飛ぶ。
遠くで真人の声が聞こえたが、しかし振り返る事はしなかった。
囚われることの恐ろしさを巴は痛いほど知っている。たとえ実弥が強大な術者だとしても、いま傍に行かなければ存在意義がない。
式神の自分なら主人である実弥を追跡出来るのだから、皆が見失ったとしても巴なら探し出せるのだ。
従属の縁は使役よりも強固。
あちらが呼び出してくれれば一瞬だが、あの実弥が巴に助けを求めるなどしないだろう。
呼ばれないなら、こちらから行くまでだ。
有事に役立たなくては恩を返せない。
契約とて妻であるのだから尚更だ。



