狐に嫁入り

 翌日。
 雨が降った。
 とても強く、大粒の雨が。

 けれども初は、外へ出た。
 頼りない傘を手に、全身濡れて汚れても、気にせず彼方此方と回り続けた。
 けれどもその甲斐虚しく、新しい仕事に就くことは出来なかった。
 だから今日も、夕刻、唯一余っていた履物の埃落としだけをした。
 朝は紅緒の厚意で程々の食事を食べさせてはもらえていたが――夕刻、得られた食べ物は雀の涙程度のものだった。



 更に翌日。
 昨日とは打って変わって、目を覆いたくなる程の晴天だった。
 今日は上手く行くだろう。
 気分も晴れやかで、余裕のない昨日とは、自分も回りも多少は違うはずだ。
 そんな心持ちで、町へと繰り出した。

 けれども変わらず、仕事に就くことは出来なかった。
 元々この國では、女性の立場は低い。
女性という身で成れる仕事は限られているし、そう簡単に事が運ぶなんて楽観もしていなかった。
 だからこそあの屋敷に仕える女中らのような野望は、当然のことだった。
 そういう人間だからこそ、仕事に就くことが出来、ともすれば大成だって出来る。

 今日もまた、初は履物の埃落とし。
 朝は変わらず、紅緒の厚意によって飢えは些か凌げたが、夕刻、食事は昨日より質素になった。