夏祭り、君に会えますように

 七夕、か……。
 私は、ショッピングセンターの一角を見ながら、そう思う。
 笹と、短冊。
 どう考えても、七夕のイベントだ。
 ……そっか。
 もうすぐ、"あの日"なんだ……。
「いーのーりー?」
「あ、ごめん、有紗(ありさ)
「別にいいよ。……さ、どこ行きたい?」
「本屋さんと、雑貨屋さんと、手芸屋さんと……」
 私は、姫野(ひめの) みのり。
 高校2年生。
 美術部員。
「おっけー。じゃあ~、まずは、雑貨屋さん!」
 彼女は、江崎(えざき) 有紗(ありさ)
 私の幼馴染。
「レッツゴー!」
「……ゴー!」
 私は、七夕の日に、お母さんを亡くした。
 それ以来、ずっとおばあちゃんの家で暮らしている。
「……あ、姫野(ひめの)じゃん」
諸星(もろぼし)くん!奇遇だね!」
「……誰?」
諸星(もろぼし) 夏月(かづき)くん。同級生だよ」
 諸星(もろぼし)くんは、私と同じ美術部。
 有紗(ありさ)は、学校が違うのだ。
 私は、季坂高校(きざかこうこう)有紗(ありさ)は、充雪女学院(みつゆきじょがくいん)
「ふーん……」
 有紗(ありさ)は、あまり男子が好きじゃないのだ。
諸星(もろぼし)くんも、買い物?」
「あ、いや……。ちょっと、病院に。ほら、すぐ近くにあるじゃん。愛花総合病院(あいかそうごうびょういん)。そこ行って、今帰る途中」
「風邪?」
「……う、ん」
「そっか、お大事にね」
 諸星(もろぼし)くんは、そそくさと去っていく。
 まあ、あまり関わりはないからな……。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
 私は、七夕の短冊が置いてあるところから、早く離れたかった。