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灯影が捕縛され、芙蓉たちも連行されていった後、屋敷には騒ぎのあとの波だった気配と、全てが終わったことへの安堵がない交ぜに漂っていた。
とにかく千牙もハチも、無事で良かった、と咲は思う。
「咲さまと長のお心が、すべてを解決したのですね……」
スズが声を震わせてそう言った。小夜が続ける。
「しかし、あのとき長が狐の企てから逃れられたのは、もとの真名にも勝る名を得られたから……。咲さまのお力で、長も戻ってきていただけた……。本当に感謝いたします……」
小夜が深々と頭を下げたが、咲だって声が出ない状態ではどうしようもなかった。
「そんな……。わたしだって、あのとき声が出なければ、どうにも出来ませんでした。だから、お礼はやはり、千牙さんに言うべきです」
あのとき、灯影から咲を守りながらも、咲に助力してくれたのは、きっと自分を呼んでくれるという、圧倒的な咲への信頼感から。
「長。まさかこの事態を見越して、咲さまに『千牙』の名を教えられたのですか?」
驚きに目を開いたハチの問いに、千牙は流石に笑った。
「まさか、このようなことは予想してはおらぬよ。しかし、咲に約束したからな。おぬしのために、力を尽くすと」
そうだ。千牙が言っていた。お守りは咲の力加減を制御する安全装置だと。そして制御を外された咲の力は、血という形になって、灯影の呪を消し去った。お守りが爆ぜた意味は、そういうことだろう。
言葉の半分を咲に向けて言った千牙に、目が潤む。
ああ。千牙は名を奪われ力を削がれても、心の奥底で咲を思ってくれていた。そして咲を信じて、力を解放してくれたのだ。
「千牙さん……」
嬉しい……。信じてもらえること、心を寄せてもらえることが。
「しかし長。いくら力を削がれ名を封じられていたとはいえ、あの女の良いように使われて、わたしは情けのうございました」
小夜の言葉に、千牙はばつの悪そうな顔をする。
「誓って言うが、私は思っていないことは、口にしてはいない」
……とすると、やはり咲は千牙にとって要らぬものだったのだろうか。
一瞬、顔が強張った咲のことを理解している千牙が、続ける。
「私を解き放ち、安らぎを与えてくれたのは、咲、おぬしだろう。それに、あの女なぞ、最初から要らぬものだった」
彼の言葉に、一瞬目を丸くする。……つまり……。



