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今日も千牙は宮城の巫女の間の前まで送ってくれた。この後は彼としばらく別行動になるため、改めて鏡について確認される。
「今一度、鏡に妖界を映してみようか。昨日やったようにできるか、咲」
促されて、懐に入れていた鏡と一枚の紙を取り出し、千牙がやったように鏡面に手のひらをかざす。
彼と違って、人妖界の全てを知っているわけではないので、咲が鏡面の向こうに念じやすくするため、千牙は妖界と人界の地図を描いてくれた。それを見ながら、鏡に念じるのだ。
一番念じやすいのは、知ったところだ。おにかみの里を思い出してみる。
屋敷の大きさ、荘厳さ。庭の美しさ。里の中は素朴な様子で、まるで平穏な咲の邑のようだった。その情景を思い出していると、鏡の中にふわりと里の情景が浮かび上がる。
そして、里を起点に外に出てみる。地図に描かれた、おにかみの里の隣の里をはじめとしたあちこちの里を、まるで千牙が咲を抱いて空を飛んだときのように、俯瞰で見下ろす。昨日は途中で途切れてしまったが、今日はおにかみの里から一番遠くに地図に描かれた妖狐の里の近くまで行けた。しかしおにかみの里から遠すぎるのか、やはり妖界の一番奥である妖狐の里まではたどり着けなかった。
「やっぱり見えないです……」
「しかし、よく飛べるようになっている。ここまで見渡せれば、近日中には一番奥まで見渡せるようになるだろう」
悔しい気持ちを滲ませて呟いたのに、千牙が合格点をくれたので、咲は意識をこの場に戻した。すると、ふい、と鏡に映った景色は消える。
「咲はすごいな。地図を渡しただけで、妖界を俯瞰で見ることが出来るとは思わなかった」
「千牙さんがよく空に連れて行ってくださいましたから。それに地図もとても細かく描いてもらったので、里からたどりやすいのです」
それは良かった、と彼が微笑む。
「では私も数日で戻るつもりだが、里に帰るまでは気を抜かぬよう。ハチも十分に気をつけてな」
「お任せ下さい、長」
「千牙さんも、お仕事頑張ってくださいね」
咲が言うと、千牙は手を振って城の奥へと向かった。



