先輩と過ごした四泊五日

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新幹線の中は涼しくてさっきまでの人混みのざわつきが嘘のように静かだった。

指定された席まで行くと、窓側の方の席を俺に譲ってくれた。隣にどすんと腰を下ろす先輩はやっぱり大きい。隣に座るとわかる圧迫感というか、存在感がとにかくすごい。

「乗り物酔いは?」

「あ、大丈夫です」

「そうか」

口数は少ないのに……なんだろう、気づかいなんだよな。なんか、少し先輩という人がわかってきている気がする。

いつの間にか新幹線は動き出していて、窓の外の景色がゆっくりと動き始めた。ふと隣を見ると、腕を組んだまま外を見る先輩。……なんか、緊張してきた。ほんとにこれから先輩と四日も一緒にいるんだよな?

「お、持ってきたのか?」

「へ?」

先輩の視線の先には、旅行バッグのポケットから少しはみ出した持ち運び用の図鑑。

「はい!もちろんです」

図鑑を先輩に手渡すと、少しだけ口元を緩めながらペラペラとページをめくり始めた。持ってきたと言えば……そうだ、お弁当。

図鑑を真剣に見ている先輩を横目にスマホの時計をチェックするとちょうどお昼。

「あの、先輩!お腹、減りませんか?」

「腹減ったか?確か車内販売がもうすぐ、ちょっと待ってろ」

「あっ、ちがっ、先輩待って」

立ち上がろうとする先輩を慌てて引き止めると、「なんだ?」って不思議そうに俺を見た。すかさずお弁当を差し出す。

「これ、その唐揚げ多めなんで、よかったら食べますか?」

「弁当?作ったのか?」

「あ、はい、母に教わりながらですけどね」

へへっと笑うと、先輩は少し黙って、それから「ちょっと手、洗ってくる」とスタスタ歩いて行ってしまった。

あれ?お腹減ってなかった?
首を傾げた時、ふと誠也の言葉を思い出した。

”いつも照れると「んじゃ」って逃げる”

……あ、喜んでくれた、のかな。

数分後に戻ってきた先輩は、どすんと隣に座るといつもより少しだけ小さい声で「ありがとう」って言った。

「「いただきます」」

新幹線の隣同士、一緒に手を合わせて食べるお弁当。先輩は「うまい」って言って、三分くらいで完食してくれた。先輩のあまりの早食いっぷりにはびっくりしたけど、美味しかったってこと……かな。

お弁当を食べ終えて片付けた頃には、窓の外の景色は、すっかり山に変わっていて、あっという間に目的の駅に到着していた。