先輩と過ごした四泊五日

「ゴリラ研究部、部員募集中でーす!ぜひ!」

「は?ゴリラ研究部?なにそれ」

「ゴリラを研究する部です!」

「まんまじゃねえか!いらん!」

パタパタと逃げるように走り去っていく男子生徒。

断られるのは、いつもの事。

「……はぁ、また断られた」

江花小鳥、高校一年。
今日も部員集めの手応えはゼロのまま、一日が終わろうとしている。

「小鳥、もう諦めろよ」

そう言って俺の肩をぽんと叩くのは、山内誠也。保育園からずっと一緒の幼なじみ。

ゴリラ研究部を作りたい。
それが俺の高校生活最大の目標である。
ちなみに現在、部員は俺一人。
顧問もいないし、部活として認めてもらうための人数にも届いていない……つまり、かなりまずい。

「誠也も入部してよ!てか、誰かいない?」

「いねーよ。まず、ゴリラ研究部って名前、どうにかしろ」

俺は子供の頃からとにかくゴリラが好きだ。たくましい腕も、キリッとした目も、俺とは正反対だから憧れに近いものなのかもしれない。

「柔道部、勧誘しに来れば?」

「へ?」

「うちの部のキャプテンとか、小鳥好きかも」

「どんな人?」

「三年の先輩。まあ今日はチラシ配るのやめて、柔道部来てみろ」

誠也は中学の頃から柔道をしていて、やたら俺を誘ってくる。運動音痴の俺が柔道なんて出来るわけないのに。

「……行かない」

「いや、来い。部員集めたいんだろ?」

「それは、そうだけど……」

仲間を他の部に勧誘させるために呼ぶなんて、誠也は何考えてんだ。

「いいから来いって!部室の冷房、効き悪くてクソ暑いけど」

まあ、でも運動部ってちゃんと見た事なかったし見学だけならいいか。

「見学だけだからな」

なにか企んでるような笑顔で「おう」と言ってスタスタ歩き出す誠也の後を追った。