叙情的現象解体文学

『現代コンテンツ』

 あなたの目の前に、美味しそうな食事がある。
 豪華絢爛に並んでいる料理はどれも美味しそう。
 好きなだけ自由に食べていい。
 ご自由にお取り下さい。テーブルには札がさがっている。
 ちょうど、お腹が空いていて、我慢ができない。
 どうもよだれが垂れてきてしまう。お腹が鳴った。
 我慢できずに手をつける。
 一品一品最高の味だった。
 これならきっと、誰もが欲しがる。
 でも、今、この料理にありつけているのは自分だけ。
 最高の気持ちで食事を頬張った。


 満腹になったあなたが一息つくと、奥から次の食事が出てきた。
 次も好きなだけ自由に食べて構わないらしい。
 しかも次も無料であるようだ。
 メニューは先ほどと少し違う。
 今度はデザートが付いている。
 満腹だったけど、少し食欲が湧いてきた。
 あなたは頑張って料理に手を延ばす。
 今度もどれも絶品だった。
 これならきっと、誰もが欲しがるに違いない。
 でも、今料理にありつけているのは自分だけ。
 最高の気分で料理を頬張った。


 満腹になったあなたが一息ついていると、奥から次の料理が差し出された。
 次は料金を取るらしい。
 しかしながら、料金の分だけ、腕を振るった料理だという。
 既に満腹のあなたは悩む。まだ食べられるだろうかと。
 そんな様子を見かねた誰かが言った。
「この料理はどれだけ食べても太らないのだ」と
 それでも決めかねていると、料金を安くしてくれるらしい。
 どうも悪い気がしてきたあなたは、割引料金で権利を得た。
 不安になりながら料理に手をつける。
 味はやっぱり最高だった。
 完璧に自分好みの味付けだった。
 食べても食べても幸せな気分だった。
 これならきっと、誰もが欲しがるに違いない。
 でも、完全にこの場は自分だけの所有物。
 だって、お金を払って、手に入れたのだから。
 他の人は誰もいない。
 もっと欲しいもっと欲しいもっと欲しいもっと欲しいもっと欲しいもっと欲しい。
 なぜだろう。満腹感が失せてきた。
 あれだけ食べたはずなのに、どうしても満腹にならない。
 どうもよだれが垂れてきてしまう。お腹が鳴った。
 心の底から苛立ちが抑えられなくなってきた。貧乏揺すりが止まらない。
 もっとくれもっとくれもっとくれもっとくれもっとくれもっとくれ
 のどが渇いて仕方ない。額からは汗が滴る。
 あれ。
 
 
 気づくと、あなたはいつのまにか砂漠にいた。
 水がどこにもない。急いで泉を探す。
 命からがら走って、叫んで、たどり着いた先にやっと、民家があった。
 住人は優しい人で、水をたっぷりわけてくれた。
 そして、客をもてなすための豪華な食事を用意してくれた。