〇丙組教室
古びた教室
澪が入室する
ひそひそ
生徒A「例の子だ」
生徒B「久遠様推薦」
生徒C「神子適正なし」
澪、小さく席につく
澪(場違いだったんだ)
ガラッ
一人の男が入ってくる
八雲
黒髪の癖毛
気だるげな雰囲気
神統学舎教師
八雲「はいはい」
「朝から辛気臭い顔すんな」
生徒たちが顔を上げる
八雲「丙組担任の八雲だ」
教壇に腰掛ける
八雲「神力が弱くても神子になった奴はいる」
「だから勝手に終わった顔すんな」
生徒たちが顔を見合わせる
澪、少しだけ目を見開く
澪(神力が弱くても……?)
〇昼休み・教室
生徒たちは早くもグループを作っている。
澪だけが一人
その時
紬「ここ座っていい?」
澪「……え?」
返事を待たずに座る
紬
明るい栗色の髪を高めの位置で一つ結びにしている。
くりくりとした大きな瞳
小柄で愛嬌のある顔立ち
人懐っこい笑顔が印象的な少女
紬「私、紬」
澪「神代澪です……」
紬「さっき大変だったね」
澪、俯く
紬「でも気にしなくていいよ」
澪「え……?」
紬「私も神力みそっかすだし」
澪、思わず顔を上げる
紬「丙組なんてそんなのばっか」
紬「だから落ち込むだけ損!」
にっと笑う
澪、ぽかん
澪(変わった人……)
〇神統学舎・正門前
放課後
麗華はすでに友人たちに囲まれている
澪を見つける
周囲
ひそひそ
生徒A「あの子が例の……」
生徒B「丙組だったんでしょ?」
生徒C「本当に久遠様推薦だったのかな」
麗華、内心でほくそ笑む
麗華「……いいえ」
少し困ったように笑う
麗華「きっと何かの勘違いだと思うわ」
周囲「勘違い?」
麗華「だって神子としての適性もないんだもの」
麗華「あの子、昔から思い込みが激しいところがあったから……」
困ったように微笑む
麗華「悪気はないの」
「でも、自分に都合のいいように思い込んでしまうことがあって……」
周囲
「えっ……」
「じゃあ久遠様推薦って……」
麗華「私にも分からないわ」
「でも、あの子が何か勘違いしてしまった可能性は……あるかもしれないわね」
澪「……っ」
周囲の視線が変わる
生徒A「じゃあ本当は推薦されてないの?」
生徒B「それなのに特別入学?」
生徒C「さすがにそれは……」
澪「ち、違います……!」
全員の視線が澪へ向く
澪「私は……!」
言葉に詰まる
久遠から推薦された
本当のことなのに、証明できない
麗華「澪」
悲しそうな顔
麗華「無理しなくていいのよ」
周囲
「神代さん優しい……」
「庇ってるんだ」
澪、拳を握る
――フラッシュバック
幼い澪「違うの……!」
義母「また言い訳をして」
義父「見苦しいぞ」
麗華「ごめんなさい」
「きっと悪気はないの」
現在
澪(ああ)
(まただ)
周囲の冷たい視線
澪(変わらない)
(どこへ行っても――)
その時
足元の影が揺れる
澪「……!」
周囲「え?」
空気が変わる
影が広がる
黒い影の中から一人の男が現れる。
生徒A「っひ! し……四柱……?」
生徒B「本物……?」
誰も動けない
麗華、目を見開く
麗華(この方が……)
(影神・久遠様……⁉)
久遠は周囲を見ない
ただ澪の前で立ち止まる
久遠「迎えに来たよ」
澪「久遠様……」
張り詰めていたものが少しだけ緩む
久遠「おいで」
自然に手を差し出す
澪、一瞬迷う
けれど
その手を取る
ざわっ
生徒たちが息を呑む
生徒A「嘘じゃなかったんだ……」
生徒B「本当に久遠様の……」
久遠「帰ろうか」
澪「……はい」
その時
天城「久遠様!」
声が響く
天城が焦った様子で駆け寄ってくる
天城「至急、お耳に入れたいことがございます」
久遠「何?」
露骨に面倒そうな顔
天城「神晶石です」
久遠の目がわずかに細まる。
天城「神代澪の測定後に回収した神晶石が――」
しん
周囲が静まる
天城「破損しました」
全員「……え?」
天城「原因は不明」
「神統学舎創設以来、前例のない事例です」
澪、目を見開く
麗華の顔が強張る
天城「現在調査を――」
久遠「そう」
数秒の沈黙
久遠は興味を失ったように視線を外す
久遠「澪」
澪「は、はい」
久遠「帰ろう」
影が二人の足元から広がる
生徒たちは呆然と見送る
麗華「……」
影の中へ消えていく二人
麗華は唇を噛みしめる
古びた教室
澪が入室する
ひそひそ
生徒A「例の子だ」
生徒B「久遠様推薦」
生徒C「神子適正なし」
澪、小さく席につく
澪(場違いだったんだ)
ガラッ
一人の男が入ってくる
八雲
黒髪の癖毛
気だるげな雰囲気
神統学舎教師
八雲「はいはい」
「朝から辛気臭い顔すんな」
生徒たちが顔を上げる
八雲「丙組担任の八雲だ」
教壇に腰掛ける
八雲「神力が弱くても神子になった奴はいる」
「だから勝手に終わった顔すんな」
生徒たちが顔を見合わせる
澪、少しだけ目を見開く
澪(神力が弱くても……?)
〇昼休み・教室
生徒たちは早くもグループを作っている。
澪だけが一人
その時
紬「ここ座っていい?」
澪「……え?」
返事を待たずに座る
紬
明るい栗色の髪を高めの位置で一つ結びにしている。
くりくりとした大きな瞳
小柄で愛嬌のある顔立ち
人懐っこい笑顔が印象的な少女
紬「私、紬」
澪「神代澪です……」
紬「さっき大変だったね」
澪、俯く
紬「でも気にしなくていいよ」
澪「え……?」
紬「私も神力みそっかすだし」
澪、思わず顔を上げる
紬「丙組なんてそんなのばっか」
紬「だから落ち込むだけ損!」
にっと笑う
澪、ぽかん
澪(変わった人……)
〇神統学舎・正門前
放課後
麗華はすでに友人たちに囲まれている
澪を見つける
周囲
ひそひそ
生徒A「あの子が例の……」
生徒B「丙組だったんでしょ?」
生徒C「本当に久遠様推薦だったのかな」
麗華、内心でほくそ笑む
麗華「……いいえ」
少し困ったように笑う
麗華「きっと何かの勘違いだと思うわ」
周囲「勘違い?」
麗華「だって神子としての適性もないんだもの」
麗華「あの子、昔から思い込みが激しいところがあったから……」
困ったように微笑む
麗華「悪気はないの」
「でも、自分に都合のいいように思い込んでしまうことがあって……」
周囲
「えっ……」
「じゃあ久遠様推薦って……」
麗華「私にも分からないわ」
「でも、あの子が何か勘違いしてしまった可能性は……あるかもしれないわね」
澪「……っ」
周囲の視線が変わる
生徒A「じゃあ本当は推薦されてないの?」
生徒B「それなのに特別入学?」
生徒C「さすがにそれは……」
澪「ち、違います……!」
全員の視線が澪へ向く
澪「私は……!」
言葉に詰まる
久遠から推薦された
本当のことなのに、証明できない
麗華「澪」
悲しそうな顔
麗華「無理しなくていいのよ」
周囲
「神代さん優しい……」
「庇ってるんだ」
澪、拳を握る
――フラッシュバック
幼い澪「違うの……!」
義母「また言い訳をして」
義父「見苦しいぞ」
麗華「ごめんなさい」
「きっと悪気はないの」
現在
澪(ああ)
(まただ)
周囲の冷たい視線
澪(変わらない)
(どこへ行っても――)
その時
足元の影が揺れる
澪「……!」
周囲「え?」
空気が変わる
影が広がる
黒い影の中から一人の男が現れる。
生徒A「っひ! し……四柱……?」
生徒B「本物……?」
誰も動けない
麗華、目を見開く
麗華(この方が……)
(影神・久遠様……⁉)
久遠は周囲を見ない
ただ澪の前で立ち止まる
久遠「迎えに来たよ」
澪「久遠様……」
張り詰めていたものが少しだけ緩む
久遠「おいで」
自然に手を差し出す
澪、一瞬迷う
けれど
その手を取る
ざわっ
生徒たちが息を呑む
生徒A「嘘じゃなかったんだ……」
生徒B「本当に久遠様の……」
久遠「帰ろうか」
澪「……はい」
その時
天城「久遠様!」
声が響く
天城が焦った様子で駆け寄ってくる
天城「至急、お耳に入れたいことがございます」
久遠「何?」
露骨に面倒そうな顔
天城「神晶石です」
久遠の目がわずかに細まる。
天城「神代澪の測定後に回収した神晶石が――」
しん
周囲が静まる
天城「破損しました」
全員「……え?」
天城「原因は不明」
「神統学舎創設以来、前例のない事例です」
澪、目を見開く
麗華の顔が強張る
天城「現在調査を――」
久遠「そう」
数秒の沈黙
久遠は興味を失ったように視線を外す
久遠「澪」
澪「は、はい」
久遠「帰ろう」
影が二人の足元から広がる
生徒たちは呆然と見送る
麗華「……」
影の中へ消えていく二人
麗華は唇を噛みしめる


