大空グリッター


「速報です。昨日午後23時ごろ、スペクターと思われる人物が東京で発見されました。警察は捜査中で、住民の皆さんには細心の注意を払ってください。繰り返します…」

ニュース速報で、アナウンサーが淡々と告げる。


現代、日本。

この街にはスペクターと呼ばれる凶悪生物が存在する。

昼間は人間の姿で生活し、日が沈むと本物の姿になるという。
スペクターは人攫い、強盗、殺人など好き勝手やりたい放題している現状だ。



白崎アイラは都内の高校に通う女子高生だ。


「アイラ、スペクターには気をつけて。早く帰ってくるんだよ。」

アイラの母親が心配そうに告げる。

「お母さん、そんなことわかってるよ。もういくね。」


アイラは眉を顰めてため息をつくと、学校のバッグを持って家を飛び出した。

6月。
ジメジメとした空気と、汗が嫌な季節だ。

「気持ち悪」

家を飛び出して数分で、少し汗をかいてきた。

アイラの学校は、自然豊かな穏やかな共学校
生徒全員心優しく、揉め事なんて起きない。


「本当にスペクターって存在するのかな…」

ニュースや記事の嘘だったりして…、と、アイラは半ば思っている…
実際、アイラは本物を見たこと愛し、実感がわかない。



とはいえ、スペクターが街を襲っているのは事実だし、認めざるを得ない。


少し歩くと、駅に着く。

「あ、今日もいるじゃん」


毎日、駅のホームには見慣れた制服を着た男性がいる。


リボンの色が先輩なので、多分アイラの学校の生徒だ。


彼は、整った顔立ちで凛としている
俗に言うイケメンだ。

それよりも、すらっとした体型で、いつも耳にイヤホンをつけている。

「はあ、本当いつも目の保養…」


彼を拝めることが毎日のアイラの楽しみだ。


まもなく電車がまいります、とアナウンスが鳴ったのを聞いて、慌てて電車の方に駆け寄る。

この人の名前をアイラは知らない。
けど、その程よい距離感がアイラにはちょうどよかった。

_______


電車に揺られ、しばらくすると駅に着いていた。

リズムよく階段を駆け下り、駅を出る。


同じ駅で乗った先輩は、いつの間にか見失っていた。

「どこ行ったんだろ、まあいいか。」


アイラはご機嫌で学校に向かった。







「あ、アイラ、おはよう。」


学校へ向かう途中、声をかけてきたのは友達の岡澤日奈子だった。

「あ、日奈子、おはー」

「どうした??ご機嫌だね。」

「へへ、先輩を拝められたの!しかも、5日連続!」

自慢げにドヤると、日奈子は呆れた顔をした。


「はあ、本当にアイラは面食いだね…」

「面食いって…いや、確かにそうかもしれないけどさ…」





しばらくの沈黙の後、日奈子はアイラの目から、空へ視線を移した。

「この街は平和だね…」

日奈子は静かに口を開く。

きっと、スペクターのことを指しているのだ。

「ねえ、スペクターって本当にいるのかな」

アイラは何気なくそう答えた。
昼は人間、夜は別の姿。

御伽話でもないんだから、そんなこと現実にあり得るわけないと思う。

「もし、スペクターがいなければ、毎日穏やかなんだろうな。」

日奈子もしみじみとそう答える。

「ねえ、今日スペクターが本当にいるのか探してみない?ここから近い、渋谷らへんを。」

アイラが得意げに言う。
スペクターがどんなものなのかを、自分の目で確かめたかった。

どれほど凶悪な生物なのか、自分の目で。

「…いいよ」


いつにもない日奈子の低い声がアイラの耳にうっすら聞こえた。

「え、いいの?ほんと?」

「…ん。今日は、帰りたくない。」


そこでアイラは日奈子の家庭環境がよくないことを思い出した。


「じゃあ、放課後、一緒に行こう。」

「うん、絶対。」


日奈子とアイラで約束をした時、2人は学校の前についた。

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2人は隣同士のクラスのため、学校の中ではあまり話さない。

アイラはクラスの中でそこそこ友達がいるが、日奈子は一緒に過ごしている人をアイラ以外に見たことがな買った。


「アイラー!次移動教室ー!」

「あ、うん、今行く!」




アイラはいつも、窓の外見ている。

駅で会う先輩を探しているのだ。



「…今日は会えないかな」

アイラはぽそりとつぶやく

「なんか言った?」

「あ、ごめん、なんでもない!」