探偵研究部。――カケラノセカイ―― ③ サマーゲームパーティー

――小笠原(スパロウ)を真ん中に、ハムスター、さっちんの三人が組んで、あるポイントを探していた。

「さあ、もうすぐ湖岸だ」

 地図を見ながら歩く小笠原の足元が、
 ずるっ。
 急に足場が崩れた。

「危ない!」

 三人はとっさに後ろに尻もちをついた。
 一歩先のそこは文字通り、絶壁の断崖だった。

「もう……もう無理!!」

 さっちんは恐怖で泣き出しそうになる。
 小笠原は湖岸から望む風景を見た。
 湖は凪いでいる。星が瞬き始める。
 街灯だろうか? 夕闇に対岸の人工の明かりが見え始めている。
 今しかない!

 小笠原は励ました。

「きみは、唯一懐中電灯を持っていた! だからそれで知らせてくれ。あっちが人里の方角だ、モールスを打つんだ、SOSと」

 さっちんは震える手でスイッチを押す。

「トントントン、ツーツーツー、トントントン……」

 ハムスターは、機械のチューナーを回して、周波数を合わせた。
 誰かと繋がりたいと思って始めた、アマチュア無線だ。

「怖いけど、でも、でも言うんだ……」

 はあっと息を吐いてから、無線をしっかり握り、ハムスターは暗い空に向かって呼びかけた。

「聞こえますか。聞こえますか。助けてください。場所は、富士五湖の西湖。助けてください。友達が、危険なんです」

 その声は、電波に乗って日本を走っていく。受け取ってくれる、誰かを目指して。

「……もう、疲れたよ」

 カチカチとスイッチを押し続ける指先の爪は白く変色している。指先が、かじかんで感覚が分からない。
 そんなさっちんに小笠原は声をかけ続ける。

「諦めないで、呼び続けるんだ」

 そのやり取りを、恐怖と戦いながら、何度も何度も繰り返していた。

 ******

 捜査本部のみゆお刑事の元に、一本の連絡が入った。

「西湖からのSOSの電波を傍受しました!」

 その報告に、みゆお刑事は一瞬、息をのんだ。
 続けて、住民からのモールス信号によるSOSの通報も入ったという。

 無線機から流れる声は、焦りを含んでいながらも、明確に事実を伝えていた。電波とモールス信号。二つの情報が一致している。
 ――裏が取れた!

 無線機の向こうで、捜査本部長の「突入!」という号令が響いた。
 みゆお刑事は、すぐさまヘリコプターへ向かう。ヘリのローターが激しく回転し、彼女を乗せて夜の闇へと飛び立っていく。

 子どもたちが送ったSOSが、ついに捜査チームに届いたのだ。