小笠原(スパロウ)が使い込まれた地図を指さした。
「おれたちは、北緯三十五度二十九分付近にいる。つまり、ここは山梨県側の、富士五湖の一つ『西湖』だ」
二十一人の子どもたちは口々に話し合う。
「西湖? 芦ノ湖じゃないの?」
「思い出して、バスの中の問題。答えは『芦ノ湖』だったけど、ゲームマスターはここが『芦ノ湖』って明確な答えは言ってない」
「そういえば答えが富士五湖が答えの問題もあった!」
キュービーが腕につけた腕時計を指して尋ねた。
「でも、わざわざおれの時計の時間までずれてんの?」
それには未知が口を開いた。
「多分、時間差のトリックのためだと思います。
私たちは、東京駅を出て、芦ノ湖にさも順調に着いたと、思わせるために……。
でも、本当は、山梨県側の西湖に着いた」
その言葉に、子どもたちは顔を見合わせた。
自分たちが思っていた場所とは違う場所にいる。
その事実に、最初から大掛かりな危険な事件に巻き込まれているという確信が強まった。
すると、再びゲームマスターの声が響き渡った。
「おみごと! 正解だ」
声のほうを向くと、そびえたつ木々の一段高い場所に、仮面を付けたゲームマスターその人がいる。
「……っ! この野郎!」
キュービーを先頭に駆け寄ろうとする男子たちに、
「動くな」
と冷たい声がする。
その右手には、拳銃が握られている。左手には、白い布袋がひっかけられてる。
「!!」
皆の表情が凍り付いた。
「バレたのなら話は早い!
さあみんな、休憩はおわりだよ」
そう言って、布袋をこちらに投げた。
がちゃり、と固い金属音を立ててそれは子供たちの足元に落ちた。
袋から飛び出たそれは、手錠だった。
「さあ、次は二人一組ペアになって! 余ったら三人ね! さあ、この手錠をお互いにかけましょう」
ゲームマスターの拳銃がこちらに向けられている限り、下手なことはできなかった。各々が近くにいたものと片手ずつ、左手と右手首にガチャリと回す。
本物の手錠など見たことはないが、プラスチックのおもちゃではなく金属の重みのあるものだった。
「さて、僕から最後の出題だ。西湖にあって、芦ノ湖にないもの、なーんだ!」
皆は、ゲームマスターの後ろの鬱蒼とした森を見た。
絶望が顔に広がる。
「じゅ……」
とみなが声を上げ始めるのを、仮面の下でニタニタと笑っているかのように子供たちには思えた。
苦々しい思いで皆が声を発する。
「樹海」
【おことわり】
※本作品はフィクションであり、実在の人物や事件等とは一切関係ありません。実在の地名が登場しますが、すべて物語上の演出です。なお、作中にて西湖をクルーザーが航行するシーンがありますが、実際の西湖では環境保護のため動力船の航行は原則禁止されています。現実の法令やルールとは異なりますのでご了承ください。
「おれたちは、北緯三十五度二十九分付近にいる。つまり、ここは山梨県側の、富士五湖の一つ『西湖』だ」
二十一人の子どもたちは口々に話し合う。
「西湖? 芦ノ湖じゃないの?」
「思い出して、バスの中の問題。答えは『芦ノ湖』だったけど、ゲームマスターはここが『芦ノ湖』って明確な答えは言ってない」
「そういえば答えが富士五湖が答えの問題もあった!」
キュービーが腕につけた腕時計を指して尋ねた。
「でも、わざわざおれの時計の時間までずれてんの?」
それには未知が口を開いた。
「多分、時間差のトリックのためだと思います。
私たちは、東京駅を出て、芦ノ湖にさも順調に着いたと、思わせるために……。
でも、本当は、山梨県側の西湖に着いた」
その言葉に、子どもたちは顔を見合わせた。
自分たちが思っていた場所とは違う場所にいる。
その事実に、最初から大掛かりな危険な事件に巻き込まれているという確信が強まった。
すると、再びゲームマスターの声が響き渡った。
「おみごと! 正解だ」
声のほうを向くと、そびえたつ木々の一段高い場所に、仮面を付けたゲームマスターその人がいる。
「……っ! この野郎!」
キュービーを先頭に駆け寄ろうとする男子たちに、
「動くな」
と冷たい声がする。
その右手には、拳銃が握られている。左手には、白い布袋がひっかけられてる。
「!!」
皆の表情が凍り付いた。
「バレたのなら話は早い!
さあみんな、休憩はおわりだよ」
そう言って、布袋をこちらに投げた。
がちゃり、と固い金属音を立ててそれは子供たちの足元に落ちた。
袋から飛び出たそれは、手錠だった。
「さあ、次は二人一組ペアになって! 余ったら三人ね! さあ、この手錠をお互いにかけましょう」
ゲームマスターの拳銃がこちらに向けられている限り、下手なことはできなかった。各々が近くにいたものと片手ずつ、左手と右手首にガチャリと回す。
本物の手錠など見たことはないが、プラスチックのおもちゃではなく金属の重みのあるものだった。
「さて、僕から最後の出題だ。西湖にあって、芦ノ湖にないもの、なーんだ!」
皆は、ゲームマスターの後ろの鬱蒼とした森を見た。
絶望が顔に広がる。
「じゅ……」
とみなが声を上げ始めるのを、仮面の下でニタニタと笑っているかのように子供たちには思えた。
苦々しい思いで皆が声を発する。
「樹海」
【おことわり】
※本作品はフィクションであり、実在の人物や事件等とは一切関係ありません。実在の地名が登場しますが、すべて物語上の演出です。なお、作中にて西湖をクルーザーが航行するシーンがありますが、実際の西湖では環境保護のため動力船の航行は原則禁止されています。現実の法令やルールとは異なりますのでご了承ください。



