蛍の母親である媛巫女へ会いに行く。
そう決意して荷支度をしていた時にその人は訪れた。
玄関口でカンカン帽を脱ぎ深々と頭を下げるのは、神前式で久美子と結婚する予定だった孝成だ。
紫暮と結婚する気ではいたようだが、招待状に紫暮の名を書くわけにもいかず、幼なじみの孝成が利用それたようだ。
私も孝成のことは昔から知っている。
西賀家という同じ巫女家系の次男坊であり、気の弱いこともあって都合よく相手に仕立てられた人……。
那波の案内で応接室に通され、中途半端に用意されただけの西洋のテーブルを挟んで向き合う。
「申し訳ございませんでした」
孝成の第一声は思わぬ謝罪だった。
まさか孝成がそのような行動をとるとは思ってもおらず、私はうろたえて頭をあげるよう促す。
同席すると言って私の左右を紫暮と蛍が腰かけていたが、三対一の配置に孝成の肩身は狭そうだ。
那波が出したお茶にも口をつけず、俯いたまま膝の上で拳を握り、やがて覚悟を決めたと息を吐いて私と目を合わせてきた。
「式は行わず、久美子さんと籍を入れました。竜人を巻き込んだ事件です。白彦様は責任をとられて当主の座から退きました」
面倒ごとには極力関わらない。
責任という名目の逃げだろう。
そうなると、南条家の現当主は孝成のものになったはず。
紫暮が現れなければ久美子はよろこんで孝成と婚姻を結んでいただろう。
気が弱くても良いとこのお坊ちゃんであり、久美子の言うことはなんでも聞いてくれる人だからだ。
そう決意して荷支度をしていた時にその人は訪れた。
玄関口でカンカン帽を脱ぎ深々と頭を下げるのは、神前式で久美子と結婚する予定だった孝成だ。
紫暮と結婚する気ではいたようだが、招待状に紫暮の名を書くわけにもいかず、幼なじみの孝成が利用それたようだ。
私も孝成のことは昔から知っている。
西賀家という同じ巫女家系の次男坊であり、気の弱いこともあって都合よく相手に仕立てられた人……。
那波の案内で応接室に通され、中途半端に用意されただけの西洋のテーブルを挟んで向き合う。
「申し訳ございませんでした」
孝成の第一声は思わぬ謝罪だった。
まさか孝成がそのような行動をとるとは思ってもおらず、私はうろたえて頭をあげるよう促す。
同席すると言って私の左右を紫暮と蛍が腰かけていたが、三対一の配置に孝成の肩身は狭そうだ。
那波が出したお茶にも口をつけず、俯いたまま膝の上で拳を握り、やがて覚悟を決めたと息を吐いて私と目を合わせてきた。
「式は行わず、久美子さんと籍を入れました。竜人を巻き込んだ事件です。白彦様は責任をとられて当主の座から退きました」
面倒ごとには極力関わらない。
責任という名目の逃げだろう。
そうなると、南条家の現当主は孝成のものになったはず。
紫暮が現れなければ久美子はよろこんで孝成と婚姻を結んでいただろう。
気が弱くても良いとこのお坊ちゃんであり、久美子の言うことはなんでも聞いてくれる人だからだ。



