「しぐ……んっ!」
――何が起きているか、すぐにはわからなかった。
濡れた浴衣がはぎとられ、夏の夜風に肌がさらされる。
風鈴の音が一度、耳を震わせてから熱い吐息が上書きした。
おかしい。こんなのは誰も幸せになれない。
――いいえ、好きな人と肌を重ねることは自由のままならない女の身で幸せなこと。
悲しいのは心のつっかえなく好きだと身をゆだねられないから。
私の好きという想いが紫暮から竜人の激情を奪っていく。
番から引き離そうとする鬼子こそ、凶器のように竜人の身を裂いていくんだ。
ただ愛しているだけなのに。
この愛が望まれないものならば、己より愛する人の幸せを願いたい。
「花純。……いいか?」
「! だっ……ダメです! まだ一生を添い遂げるかもわからないのに……!」
「添い遂げるさ!!」
「ぃっ……!」
膝を割られて何度も紫暮の指でほぐされた股の間に熱いものが触れた。
やわらかくなった入り口が一瞬だけ広がりそうになり、ピリッとした痛みに声が漏れてしまう。
だが熱はその先に進むことなく、苦しそうに紫暮が汗を流して私の名を呼んだ。



