久美子の暴走と龍人の介入により、神前式は中止となった。
明確な敵意と、思いがけない方向からの衝撃的事実をぶつけられ、私は限界がきて意識を失ってしまう。
”鬼の誘惑”と罪をつきつけられるが、身に覚えがないと突っぱねられるほど無縁の言葉でもない。
何度も好意を示してくれた紫暮の言葉でさえ、結局はホンモノでなかったと知り、夢のなかで真っ暗闇をさ迷った。
涼しい風と風鈴の音色が、何度も私を呼んでいる。
そんなにさみしそうな声で呼ばないでとゆっくり瞼をあげると、朝露のような雫を落とす蛍がいた。
「蛍ちゃ……」
「かすみっ! やっと起きた! うあああああんっ!!」
「えぇ……?」
どうして泣くのだろうと困り果て、身体を起こすと額から濡れたタオルが落ちる。
風が吹くたびに風鈴が揺れ、縁側のすぐ外には水を撒いた跡があった。
どうやら少しでも涼しくしようと蛍が考えて、形にしてくれたようだ。
頑なに口を閉ざしてばかりだった蛍が泣いている。
この子は寂しさに気づいてもらえなかった時、糸が切れたように泣く子だったと思い出し、そっと蛍を抱き寄せた。
「ありがとー。私、結構寝ちゃってた?」
「ぐずっ……。昨日、シグゥが抱えて戻ってきた。しっ……知らない人もいでっ……!」
「知らない人……」
あぁ、いやだ。昨日の出来事がどんどん頭のなかで膨れ上がる。
紫暮の”本当の番”だと名乗り出た梨亜奈。
証拠に紫暮の尾が薄紅色の毛に染まっていた。
動揺しているうちに梨亜奈は”鬼の誘惑”で、紫暮は私を番だと勘違いしたと言い放った。
そもそも”鬼の誘惑”を知らない。だが完全否定はできなかった。
(私には鬼の血が流れてる。知らなかっただけできっと前から出来たんだ……)
愛されることなんてない。
そんなこと、心のどこかでわかっていたはずなのに期待していた。
今も受け止めきれてないくせして、自分への嘲笑を込めて口角を上げているのだからどうしようもなかった。
明確な敵意と、思いがけない方向からの衝撃的事実をぶつけられ、私は限界がきて意識を失ってしまう。
”鬼の誘惑”と罪をつきつけられるが、身に覚えがないと突っぱねられるほど無縁の言葉でもない。
何度も好意を示してくれた紫暮の言葉でさえ、結局はホンモノでなかったと知り、夢のなかで真っ暗闇をさ迷った。
涼しい風と風鈴の音色が、何度も私を呼んでいる。
そんなにさみしそうな声で呼ばないでとゆっくり瞼をあげると、朝露のような雫を落とす蛍がいた。
「蛍ちゃ……」
「かすみっ! やっと起きた! うあああああんっ!!」
「えぇ……?」
どうして泣くのだろうと困り果て、身体を起こすと額から濡れたタオルが落ちる。
風が吹くたびに風鈴が揺れ、縁側のすぐ外には水を撒いた跡があった。
どうやら少しでも涼しくしようと蛍が考えて、形にしてくれたようだ。
頑なに口を閉ざしてばかりだった蛍が泣いている。
この子は寂しさに気づいてもらえなかった時、糸が切れたように泣く子だったと思い出し、そっと蛍を抱き寄せた。
「ありがとー。私、結構寝ちゃってた?」
「ぐずっ……。昨日、シグゥが抱えて戻ってきた。しっ……知らない人もいでっ……!」
「知らない人……」
あぁ、いやだ。昨日の出来事がどんどん頭のなかで膨れ上がる。
紫暮の”本当の番”だと名乗り出た梨亜奈。
証拠に紫暮の尾が薄紅色の毛に染まっていた。
動揺しているうちに梨亜奈は”鬼の誘惑”で、紫暮は私を番だと勘違いしたと言い放った。
そもそも”鬼の誘惑”を知らない。だが完全否定はできなかった。
(私には鬼の血が流れてる。知らなかっただけできっと前から出来たんだ……)
愛されることなんてない。
そんなこと、心のどこかでわかっていたはずなのに期待していた。
今も受け止めきれてないくせして、自分への嘲笑を込めて口角を上げているのだからどうしようもなかった。



