それを問うことは、蛍を傷つけることだと思い、訊ねまいと心の奥に封じていた。
おそらく”母親”のような立ち位置で接する以上、避けては通れない。
避けていては蛍と一生打ち解けることはないと理解し、私は紫暮たちの後押しで一歩を踏み出した。
「聞いてもいい? 蛍ちゃんのこと、もっと知りたいの」
「……うん」
向き合って話のは戸惑うようで、蛍は折り紙を脇に置くと私の膝に座りこむ。
顔は見えなくなったが、距離は近くなったと蛍を後ろから抱きしめて奥に閉じ込めていた不安をゆっくりと解いていった。
「蛍ちゃんのお母さん。お名前はなんて言うの?」
「ひかり。でもみんな、ひめみこって呼んでた」
蛍の告白に、花純はすぐに母親の正体を知った。
媛巫女と呼ばれる人物は限られている。
東西南北に古から続く巫女の家系が配置されており、南条家は南を担当していた。
すべての巫女を統括するのが媛巫女の一族。
東の隠れた地に住まう巫女の頂点に立つ存在だ。
その媛巫女が母親で、楓が父親、産まれたのが蛍。
点と点が繋がり、穢れなき巫女と鬼子の間に産まれたのが蛍となれば……一族からはじき出したいと思うのが筋。
私と楓が鬼子として産まれた事実よりずっと、不可侵の領域に触れた現実に一瞬の吐き気を押さえ込んだ。
(なんてこと……! 楓、あなたが守らないで誰が守れるというの!)
「ママね、蛍のことわからないんだって」
「えっ?」
腕の中で震える小さな身体に花純は必死になって抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫よ……」
「蛍がいたらダメなんだって。だから出ていけって……」
「違う。違うわ。蛍ちゃんのことを愛して……」
「パパもいなかった! パパも蛍がいらないんでしょ!?」
「そんなことない! 楓は子どもを見捨てるような……!」
おそらく”母親”のような立ち位置で接する以上、避けては通れない。
避けていては蛍と一生打ち解けることはないと理解し、私は紫暮たちの後押しで一歩を踏み出した。
「聞いてもいい? 蛍ちゃんのこと、もっと知りたいの」
「……うん」
向き合って話のは戸惑うようで、蛍は折り紙を脇に置くと私の膝に座りこむ。
顔は見えなくなったが、距離は近くなったと蛍を後ろから抱きしめて奥に閉じ込めていた不安をゆっくりと解いていった。
「蛍ちゃんのお母さん。お名前はなんて言うの?」
「ひかり。でもみんな、ひめみこって呼んでた」
蛍の告白に、花純はすぐに母親の正体を知った。
媛巫女と呼ばれる人物は限られている。
東西南北に古から続く巫女の家系が配置されており、南条家は南を担当していた。
すべての巫女を統括するのが媛巫女の一族。
東の隠れた地に住まう巫女の頂点に立つ存在だ。
その媛巫女が母親で、楓が父親、産まれたのが蛍。
点と点が繋がり、穢れなき巫女と鬼子の間に産まれたのが蛍となれば……一族からはじき出したいと思うのが筋。
私と楓が鬼子として産まれた事実よりずっと、不可侵の領域に触れた現実に一瞬の吐き気を押さえ込んだ。
(なんてこと……! 楓、あなたが守らないで誰が守れるというの!)
「ママね、蛍のことわからないんだって」
「えっ?」
腕の中で震える小さな身体に花純は必死になって抱きしめる。
「大丈夫。大丈夫よ……」
「蛍がいたらダメなんだって。だから出ていけって……」
「違う。違うわ。蛍ちゃんのことを愛して……」
「パパもいなかった! パパも蛍がいらないんでしょ!?」
「そんなことない! 楓は子どもを見捨てるような……!」



