「シグゥ」
足元からコロコロとガラス玉を滑らせる声がして、思わず肩が跳ねた。
那波から手を離して蛍が駆けてくると、大きなまん丸の目を向けて紫暮の袖を引っぱりだす。
「お腹すいた」
「そうか。食べたいものはあるか? 洋食の店もあるぞ」
「うん。それでいい」
「わかった。花純もいいか?」
「はっ……はい」
動揺混じりの花純に紫暮は気を良さそうに笑うと、蛍を抱き上げて軽々と肩に乗せる。
本当に誰がどう見ても理想的な父親像だ。
皮肉に考えればおそらく楓よりもずっと父親らしい接し方と包容力だ。
楓のあの性格では良い父親になると思えないが、それでも子を思う心はあるはずなので蛍に会わせてあげたかった。
「あら、久しぶり顔を見てしまいましたわ」
甲高い女性の艶めかしさを備えた声が前方から飛んでくる。
「久美子さん……」
聞き覚えのある声に肩を竦ませ、恐る恐る顔を向けるとそこには南条家の長女であり、筆頭巫女の久美子がいた。
だんだんと久美子が真っ赤な天狗の面をつけたような顔となり、大股に花純に詰め寄ってひと睨み。
とはいえ、あまり険しい顔はしていられないと思ったのか、すぐに切り替えて紫暮へと視線を移すと可憐で清楚な乙女の微笑みを浮かべた。
「あの、どちら様でしょうか? もし騙されていたのなら申し訳ございません。義姉はすでに既婚者の身でして、遊ばれてるのなら声をかけずには……」
「花純、これはお前の義妹か?」
まったく久美子に関心を示さず、必要最低限の確認だと私に尋ねてくる。
「はい。南条家当主である叔父上の娘さんです。巫女として活躍をされているとてもすごい方で……」
今まで何人もの男性を落としてきた潤んだ瞳でのアイコンタクトを送ったのにまったく通じていない。
どんな美男子でもイチコロにしてきた技が紫暮にはまったく効かず、久美子は意味わからないと青ざめて視線をさ迷わせた。
足元からコロコロとガラス玉を滑らせる声がして、思わず肩が跳ねた。
那波から手を離して蛍が駆けてくると、大きなまん丸の目を向けて紫暮の袖を引っぱりだす。
「お腹すいた」
「そうか。食べたいものはあるか? 洋食の店もあるぞ」
「うん。それでいい」
「わかった。花純もいいか?」
「はっ……はい」
動揺混じりの花純に紫暮は気を良さそうに笑うと、蛍を抱き上げて軽々と肩に乗せる。
本当に誰がどう見ても理想的な父親像だ。
皮肉に考えればおそらく楓よりもずっと父親らしい接し方と包容力だ。
楓のあの性格では良い父親になると思えないが、それでも子を思う心はあるはずなので蛍に会わせてあげたかった。
「あら、久しぶり顔を見てしまいましたわ」
甲高い女性の艶めかしさを備えた声が前方から飛んでくる。
「久美子さん……」
聞き覚えのある声に肩を竦ませ、恐る恐る顔を向けるとそこには南条家の長女であり、筆頭巫女の久美子がいた。
だんだんと久美子が真っ赤な天狗の面をつけたような顔となり、大股に花純に詰め寄ってひと睨み。
とはいえ、あまり険しい顔はしていられないと思ったのか、すぐに切り替えて紫暮へと視線を移すと可憐で清楚な乙女の微笑みを浮かべた。
「あの、どちら様でしょうか? もし騙されていたのなら申し訳ございません。義姉はすでに既婚者の身でして、遊ばれてるのなら声をかけずには……」
「花純、これはお前の義妹か?」
まったく久美子に関心を示さず、必要最低限の確認だと私に尋ねてくる。
「はい。南条家当主である叔父上の娘さんです。巫女として活躍をされているとてもすごい方で……」
今まで何人もの男性を落としてきた潤んだ瞳でのアイコンタクトを送ったのにまったく通じていない。
どんな美男子でもイチコロにしてきた技が紫暮にはまったく効かず、久美子は意味わからないと青ざめて視線をさ迷わせた。



