あやめも知らぬ恋

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焼き芋を食べたり、小豆を焚いておはぎを作ったり。

ケガをしなかったから良かったものの、今後のことを考えて蛍と扇風機は接触禁止とした。

慌ただしかった日々もおだやかになってきたと、縁側に腰かけ夜風に涼む。


「最近、浅草という場所がにぎわっているらしいな。今度、行ってみないか?」

隣に座る紫暮が花純の肩を抱き寄せ、こめかみに唇を当ててくる。

「浅草は一度蛍ちゃんと行きましたが……。んっ……少し遠くありませんか、ぁ……?」

「なに、車を飛ばせばすぐだろう」


こめかみから移動して、首筋に。

少しずつ接触には慣れてはきたものの、あからさまに男女の触れ合いとなると羞恥心が上回ってしまう。

襟元に手を入れられるとしゃっくりが出てしまい、もう限界だと紫暮の肩を押した。

顔を逸らせば紫暮は決まって眉をひそめ、その先に進めるのは止めてくれる。

だが今宵は違うようだ。


「式が終わるまで手を出すなということか?」

「ちっ……んっ……ぃや……違わな……ぁん……!」

「蛍を見ていると自分の子も愛でたくなる。……覚悟をみせても花純はずっと身持ちが固い」

「そんなっ……こと言わないでぇ。き、気持ちはあるんですっ……んぅ……でも」

「でも、なに?」


枷が外れてから紫暮は意地悪くなった。

私はいつも罪悪感をあおられて、素直に受け入れることに目をぎゅっと閉じたくなる。

小刻みに震えていると、紫暮は待ってくれる姿勢を保ってくれた。

触れてはくるものの、最後まではしようとしない。


もどかしさはある。

だがこのどうしようもなさを紫暮に押しつけるようで、呼吸が難しくなった。

ゆずりたくない。

それでもこの背に生えていたあのしなやかな翼がないことに胸が痛む。

その想いがまるで罪深さから紫暮を拘束しているような気がしてしまう。

すでに戻れないと知りながら、形に変えてしまうことに恐れをなした。