あやかしの癒し子〜祓い屋の出来損ないは、鬼の王の最愛〜

 地下牢へ、再び静寂が落ちた。

 「――っ!?」

 不意に、妖のひとりが喉を押さえる。
 身体がびくりと跳ねた。

 「……ッ、ぐ……!」

 猿轡に塞がれた口から、くぐもった呻き声が漏れる。

 どさり、と床へ倒れ込む。
 ぼたぼたと黒い血が零れ落ち、石床を汚していった。
 拘束されたまま、妖が激しく痙攣する。

 隣の妖が目を見開いた。
 だが。

 「――ッ!!」

 今度は、その妖の身体が大きく跳ねる。

 くぐもった呻き声。
 骨が軋む音。

 薄暗い地下牢へ、不気味な音だけが響いていく。

 ひとつ。
 またひとつと、その動きが止まっていった。

 最後に残ったのは。
 重苦しい静寂だけだった。