***
「心、結局お前らどこにいたんだよ」
「は?」
「肝試しだよ。神谷とお前だけいなかったろ」
「確かに、俺も見てない」
「お前らだけお札も持ってなかったよな」
放課後、委員の仕事もないしさっさと帰ろうと立ち上がった瞬間、いつメンに引き止められた。
昨日まで山の中にいた事が信じられないほど日常すぎて、小さく息を吐く。
「俺、元々肝試しは──」
「おい、待て。あれ神谷じゃね!?」
言い訳を絞り出そうとしたタイミングで重なった山崎の声に、無意識に反応して言葉を止める。
山崎達の視線は窓の外に向いていて、俺も自然と同じ方に視線を向けた。
……なのに、それが一瞬で後悔に変わった。
校門に向かって笑いながら歩く真。
その隣には、鈴原春香。
一緒に帰る二人は、やっぱりお似合いだった。
「は!?あいつ、彼女居たの?」
「しかもめっちゃかわいくね?」
「心、まさかお前、知ってたのか!?」
なんで、そんなこと俺に聞くんだよ。
「……知らない」
知りたくもない。
てか、昨日の夜のあれはなんだったんだ。なんか俺、バカみたいじゃん。
「てか!今日部活ないしさ、合宿頑張ったご褒美ってことで、カラオケ行くんだけど、心も行こーぜ!」
「俺、やめとく」
盛り上がる山崎達を残して、足早に学校を出た。
さっさと帰って寝よう。
真の事なんて、考えない。
そう決めたばかりだったのに……。
「心!やっと来た。もう帰ったかと思った」
校門を出てすぐ、普段と変わらない真が俺を呼び止めた。
……なんでいるんだよ。
さっき山崎達と見た光景が頭をよぎって、逃げるように歩き出す。
「あっ、おい!待てよ」
すぐに追いついて来た真は、軽く息を切らしながら俺の腕をつかんだ。
「……なんだよ」
「今日俺、部活ないからさ、一緒に帰れる?心と行きたいとこ──」
「無理。さっき鈴原と帰ったんじゃないの?」
真の言葉を遮るように、無意識に冷たい言葉を吐いた。
「心……?」
目を見開いて固まっている真を見ても、言葉は止まらない。
「だいたいさ、鈴原いるのに、手繋いで来たりさ、今だって…なんなんだよ」
違う。
こんな事が言いたいわけじゃない。
「”拓也”に恋してるって言ったよな?なのに、なんだよ!俺にも、鈴原も!」
優しくしたいのにできない、自分への苛立ちも止められなかった。
「ほんと、訳わかんねえ」
「……ご…めん、俺」
ぽつりと呟いた真の顔からは、段々と光が消えていく。
それなのに、掴まれた腕は離されないまま。
簡単に振りほどけるはずなのに、それが出来なくて、真が好きなんだと思い知らされた。
「心、聞けよ。俺…ちゃんと好きな人──」
「聞きたくない。真の気持ちなんて、どうせ全部”偽物”だろ」
鈴原が好きだなんて、真の口から聞きたくなくて、再び真の言葉を遮った。
その直後、掴んでいた俺の腕をそっと離して呟いた真の声は、さっきよりも少し冷たくなった気がした。
「俺の気持ちは、俺にしかわかんないだろ。……またな、心」
それだけ言って去っていく真の背中が、滲んで見えなくなっていく。追いかけることも、溢れる涙を止めることも出来ないまま。
胸の奥は、後悔でいっぱいだった。
その日の夜は、何度目を閉じても真の顔が浮かんできて、ほとんど眠れなかった。
「心、結局お前らどこにいたんだよ」
「は?」
「肝試しだよ。神谷とお前だけいなかったろ」
「確かに、俺も見てない」
「お前らだけお札も持ってなかったよな」
放課後、委員の仕事もないしさっさと帰ろうと立ち上がった瞬間、いつメンに引き止められた。
昨日まで山の中にいた事が信じられないほど日常すぎて、小さく息を吐く。
「俺、元々肝試しは──」
「おい、待て。あれ神谷じゃね!?」
言い訳を絞り出そうとしたタイミングで重なった山崎の声に、無意識に反応して言葉を止める。
山崎達の視線は窓の外に向いていて、俺も自然と同じ方に視線を向けた。
……なのに、それが一瞬で後悔に変わった。
校門に向かって笑いながら歩く真。
その隣には、鈴原春香。
一緒に帰る二人は、やっぱりお似合いだった。
「は!?あいつ、彼女居たの?」
「しかもめっちゃかわいくね?」
「心、まさかお前、知ってたのか!?」
なんで、そんなこと俺に聞くんだよ。
「……知らない」
知りたくもない。
てか、昨日の夜のあれはなんだったんだ。なんか俺、バカみたいじゃん。
「てか!今日部活ないしさ、合宿頑張ったご褒美ってことで、カラオケ行くんだけど、心も行こーぜ!」
「俺、やめとく」
盛り上がる山崎達を残して、足早に学校を出た。
さっさと帰って寝よう。
真の事なんて、考えない。
そう決めたばかりだったのに……。
「心!やっと来た。もう帰ったかと思った」
校門を出てすぐ、普段と変わらない真が俺を呼び止めた。
……なんでいるんだよ。
さっき山崎達と見た光景が頭をよぎって、逃げるように歩き出す。
「あっ、おい!待てよ」
すぐに追いついて来た真は、軽く息を切らしながら俺の腕をつかんだ。
「……なんだよ」
「今日俺、部活ないからさ、一緒に帰れる?心と行きたいとこ──」
「無理。さっき鈴原と帰ったんじゃないの?」
真の言葉を遮るように、無意識に冷たい言葉を吐いた。
「心……?」
目を見開いて固まっている真を見ても、言葉は止まらない。
「だいたいさ、鈴原いるのに、手繋いで来たりさ、今だって…なんなんだよ」
違う。
こんな事が言いたいわけじゃない。
「”拓也”に恋してるって言ったよな?なのに、なんだよ!俺にも、鈴原も!」
優しくしたいのにできない、自分への苛立ちも止められなかった。
「ほんと、訳わかんねえ」
「……ご…めん、俺」
ぽつりと呟いた真の顔からは、段々と光が消えていく。
それなのに、掴まれた腕は離されないまま。
簡単に振りほどけるはずなのに、それが出来なくて、真が好きなんだと思い知らされた。
「心、聞けよ。俺…ちゃんと好きな人──」
「聞きたくない。真の気持ちなんて、どうせ全部”偽物”だろ」
鈴原が好きだなんて、真の口から聞きたくなくて、再び真の言葉を遮った。
その直後、掴んでいた俺の腕をそっと離して呟いた真の声は、さっきよりも少し冷たくなった気がした。
「俺の気持ちは、俺にしかわかんないだろ。……またな、心」
それだけ言って去っていく真の背中が、滲んで見えなくなっていく。追いかけることも、溢れる涙を止めることも出来ないまま。
胸の奥は、後悔でいっぱいだった。
その日の夜は、何度目を閉じても真の顔が浮かんできて、ほとんど眠れなかった。



