そんな片想い、偽物だろ

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放課後、保健室に向かう途中の階段の手前の廊下の奥だった。

足にブレーキがかかったみたいに、動けない。
早くこの場を離れなきゃと頭ではわかっているし、盗み聞きしたい訳じゃない。気にならないと言えば嘘になるけど。

いつもなら既に部活をしているはずの真の背中が見えて、不思議に思った直後に見えたのは、小柄な女の子。

緩く巻いた髪に控えめな雰囲気を纏ったその子は、照れたように俯いてる。俺が見ている位置からは少し離れているものの、確かに見えるし聞こえる距離。

「……えーっと」

背を向けてる真の表情はもちろん見えない。でも、迷っているようなその声はどこかいつもより優しく聞こえる。

「あの、たまにでいいから」

「でも俺、昼休みも練習あるし、そんな話したりできないし……」

どう見ても告白なんだろうけど、なんかこの二人……めちゃくちゃお似合いじゃね?

「それでもいいよ。あの、一緒に帰ったりとか、できる?」

「あー、練習終わってからなら」

「じゃあその…連絡先交換いい?」

「あー、えっと……うん。」

おいおい、いいのかよ真。
お前、拓也様に恋してんじゃねえの?

視線の先には、連絡先を交換してる真と女の子。
固まったままの足を無理やり動かして、踵を返した。

俺には散々、拓也拓也って言ってるくせに、なんだよあいつ。しかも俺、あいつの連絡先知らないけど?

遠回りして保健室に来たものの。
今日は、サッカー部の練習を見に行く気にならなかった。

保健委員の仕事もほとんどないし、静かな保健室でただぼーっとしている。どうしたんだ、俺。
今日は、真の顔見たくないかも。