***
「俺やっぱ絵美里ちゃんかなー」
「まじ?俺は圧倒的に結衣ちゃん」
「俺も結衣ちゃーん!」
「心、お前はー?」
やっぱりきたかと苦笑いを浮かべながら昼ごはんのパンをわざとらしく頬張った。
昼休み、何やら周りはアイドルグループの話で盛り上がっている。まるで興味のない俺は、どのタイミングで席を立とうか、そればかり考えていた。
いわゆる、いつメンというやつ。俺を含め四人で、基本このメンバーで過ごすことが多い。中学の頃は全員サッカー部だった。高校になった今も俺以外はサッカー部だけど。
「心に聞いても無駄だって」
沈黙を破ってくれたのは山崎。
さすが、中学の頃キャプテンだっただけあって、周りをよく見ている。
「てか、心の好きなタイプとか聞いた事ないんだけど」
おいおい。山崎のおかげで、せっかく話題を変えれると思ってたのによ。
「確かに!心どうなんだよ?タイプ」
だから俺はタイプなんて……
ため息を吐きながら、ふと視線を窓の外にうつしたところで思考が止まる。
「……あいつ」
思わず漏れた言葉に、全員の視線が一斉に窓の外に向いた。
「っは?!心、お前」
「心、まさかそういう……」
みんなで目を見開いて俺を見るから、何事かと思えば。俺のタイプの質問の答えが”あいつ”だと勘違いされたんだと、遅れて理解した。
「勘違いするな。あいつって、いつもああなの?」
”あいつ”とは、窓の外、グラウンドで一人リフティングやらドリブルやらを練習しているやつ。
普段の保健室の時の、へらついた様子からは想像もつかないような真剣な顔をしているもんだから、ついじっと見てしまう。
「びびったー。まさか真がタイプなのかと」
「タイプとか、わかんねえし俺」
好きになったやつがタイプだろ。
なんて俺が言ったら笑われるとしか思えなくて、さすがに言えない。
「にしても、真よくやるよな」
「いつもだよな?早朝と昼休みと部活終わりだっけ?自主練」
「ああ、やる気だけはある感じ」
やる気だけって。
お前らはやる気すらねえじゃん。
「拓也拓也ってさー」
「ちょっと引くとこあるよな」
「まあ、役に立つ時は立つからなあいつ」
なんだよそれ。
無茶の仕方に関しては、度が過ぎてると思うけど、そこまで言わなくても。
「お前らも自主練したら?」
つい口から出た言葉。嫌味と取られたら面倒だなと思い後悔したものの。
「なんだよ心」
「自主練できるほど体力余ってねえよ」
嫌味とは取られず安堵した後も、なぜか言葉が止まらなかった。
「あいつすげえじゃん」
「っは?!」
「だって毎日、自主練してんだろ?」
「まあそうだけどさ、てか珍しくないか?心がそんな事言うの」
「まさか、心、お前ほんとに真を!?」
なんで、すぐそういう発想になるかな。
「ちょっと外の空気吸ってくる」
逃げるように席を立った。
自然と向かっていたのは、保健室。
なぜか、水道横の柱の隣に立って、真の自主練を見ている。なんで俺、こんなことしてんだ。
「心ー!」
聞き慣れた声に呼ばれてはっとしたおかげで、思考がリセットされる。
手を振りながら走ってくる真はさっきまでの真剣な顔ではなく、へらっとした見慣れた笑顔。
「心、なんでここいるの?」
なんでって、真の自主練を見に来てたなんて言えるわけない。
「外の空気、吸いたくて」
ま、これも嘘では無いしな。
「俺、自主練してた」
はい、知ってます。見てましたから。
とも言えねえだろ。
「自主練では転けない?」
何てこと言ってんだ、俺。
「それがさー、転けたっていうかさっきそれにぶつかった」
っておい。それ転けるよりひどいだろ。
グラウンドの端にあるポールにぶつかるって、どんな状況だよ。
「保健室、行って冷やした方が」
額が見るからに赤く腫れているのがわかった。
「あとで行くから今はいい。放課後なら心、保健室いるだろ?」
いるけど、放課後まで放っておける腫れ方ではない。
「すぐ行けって。どう見ても腫れてる」
「だって俺、心に手当して欲しい」
は?なんだこれ。
心臓がドクンって。
「だから、放課後行く」
さっきから心臓が変なんだけど。
ぶつけてんのにすぐ行かないなんて、おかしいだろ。
「放置したらもっと腫れるぞ。いますぐ行ってこいって」
「……行ってきますよーだ」
なんで、不貞腐れてるんだよ。
かわいい、とか思っちゃったじゃん。
「俺やっぱ絵美里ちゃんかなー」
「まじ?俺は圧倒的に結衣ちゃん」
「俺も結衣ちゃーん!」
「心、お前はー?」
やっぱりきたかと苦笑いを浮かべながら昼ごはんのパンをわざとらしく頬張った。
昼休み、何やら周りはアイドルグループの話で盛り上がっている。まるで興味のない俺は、どのタイミングで席を立とうか、そればかり考えていた。
いわゆる、いつメンというやつ。俺を含め四人で、基本このメンバーで過ごすことが多い。中学の頃は全員サッカー部だった。高校になった今も俺以外はサッカー部だけど。
「心に聞いても無駄だって」
沈黙を破ってくれたのは山崎。
さすが、中学の頃キャプテンだっただけあって、周りをよく見ている。
「てか、心の好きなタイプとか聞いた事ないんだけど」
おいおい。山崎のおかげで、せっかく話題を変えれると思ってたのによ。
「確かに!心どうなんだよ?タイプ」
だから俺はタイプなんて……
ため息を吐きながら、ふと視線を窓の外にうつしたところで思考が止まる。
「……あいつ」
思わず漏れた言葉に、全員の視線が一斉に窓の外に向いた。
「っは?!心、お前」
「心、まさかそういう……」
みんなで目を見開いて俺を見るから、何事かと思えば。俺のタイプの質問の答えが”あいつ”だと勘違いされたんだと、遅れて理解した。
「勘違いするな。あいつって、いつもああなの?」
”あいつ”とは、窓の外、グラウンドで一人リフティングやらドリブルやらを練習しているやつ。
普段の保健室の時の、へらついた様子からは想像もつかないような真剣な顔をしているもんだから、ついじっと見てしまう。
「びびったー。まさか真がタイプなのかと」
「タイプとか、わかんねえし俺」
好きになったやつがタイプだろ。
なんて俺が言ったら笑われるとしか思えなくて、さすがに言えない。
「にしても、真よくやるよな」
「いつもだよな?早朝と昼休みと部活終わりだっけ?自主練」
「ああ、やる気だけはある感じ」
やる気だけって。
お前らはやる気すらねえじゃん。
「拓也拓也ってさー」
「ちょっと引くとこあるよな」
「まあ、役に立つ時は立つからなあいつ」
なんだよそれ。
無茶の仕方に関しては、度が過ぎてると思うけど、そこまで言わなくても。
「お前らも自主練したら?」
つい口から出た言葉。嫌味と取られたら面倒だなと思い後悔したものの。
「なんだよ心」
「自主練できるほど体力余ってねえよ」
嫌味とは取られず安堵した後も、なぜか言葉が止まらなかった。
「あいつすげえじゃん」
「っは?!」
「だって毎日、自主練してんだろ?」
「まあそうだけどさ、てか珍しくないか?心がそんな事言うの」
「まさか、心、お前ほんとに真を!?」
なんで、すぐそういう発想になるかな。
「ちょっと外の空気吸ってくる」
逃げるように席を立った。
自然と向かっていたのは、保健室。
なぜか、水道横の柱の隣に立って、真の自主練を見ている。なんで俺、こんなことしてんだ。
「心ー!」
聞き慣れた声に呼ばれてはっとしたおかげで、思考がリセットされる。
手を振りながら走ってくる真はさっきまでの真剣な顔ではなく、へらっとした見慣れた笑顔。
「心、なんでここいるの?」
なんでって、真の自主練を見に来てたなんて言えるわけない。
「外の空気、吸いたくて」
ま、これも嘘では無いしな。
「俺、自主練してた」
はい、知ってます。見てましたから。
とも言えねえだろ。
「自主練では転けない?」
何てこと言ってんだ、俺。
「それがさー、転けたっていうかさっきそれにぶつかった」
っておい。それ転けるよりひどいだろ。
グラウンドの端にあるポールにぶつかるって、どんな状況だよ。
「保健室、行って冷やした方が」
額が見るからに赤く腫れているのがわかった。
「あとで行くから今はいい。放課後なら心、保健室いるだろ?」
いるけど、放課後まで放っておける腫れ方ではない。
「すぐ行けって。どう見ても腫れてる」
「だって俺、心に手当して欲しい」
は?なんだこれ。
心臓がドクンって。
「だから、放課後行く」
さっきから心臓が変なんだけど。
ぶつけてんのにすぐ行かないなんて、おかしいだろ。
「放置したらもっと腫れるぞ。いますぐ行ってこいって」
「……行ってきますよーだ」
なんで、不貞腐れてるんだよ。
かわいい、とか思っちゃったじゃん。



