あまつさえ、愛だとか。

あの文化祭のと同じ、この部室で見て聞いたセリフ。
作品のクライマックスのシーンに出てくる、告白の返事をする名シーン。
ここは古びたいつもの部室。
古びた白い蛍光灯。
打ち付ける雨の中がうるさくて、俺の心を奪ったあの演出とは程遠い。

……はず、なのに。



「あははっ、戸張くん、顔真っ赤だ。そんなにうまかった?俺の演技」


「〜〜っ知らないですよ、もう…」



この胸の高鳴りに、惑わされてしまいそうになる。



「うん、ごめん。戸張くんがあまりにもいい顔するから、もっと見たくなっちゃった」


「…嬉しくないです、それ」



なんか、あんまり褒められてる気がしないのは気のせいかだろうか。
さっきまでボロ泣きしていたはずの先輩はもういない。



「良い赤面だったのに。カメラに収められないのが勿体ないくらい」



あんなに惹き込まれる演技を見せたと思えば、今はただ後輩をからかう困った先輩だ。



「っだ、だって…先輩が芝居してくれると思わなかったので、驚いたんですよ」


「あー…うん、そうだね。俺も、自分でびっくりしてる」



けれど、そう言って笑う先輩の表情はどこか寂しげに見えて。