あまつさえ、愛だとか。


「…撮影、残ってるでしょ。それ、撮り終わってからまた聞かせてくれませんか」



先輩に伝えたいことがたくさんある。
聞きたいことも、まだまだ山積みになってて。
…だからこそ、今は目の前の作品に心を通わせていたい。



「二階堂先輩がカメラの向こうにいるんだって思ったら、俺…芝居できなくなる」



先輩のことばかりに意識がいって、先輩の作る作品を台無しになんか絶対にしたくないんだよ。



「っ…あー、うん…わかった。じゃあ、今日はお開きにしよう」


「すみません…ありがとうございます。俺、頑張ります」



そう言ってぺこりと頭を下げれば、二階堂先輩は口元を押さえて視線を逸らす。
…なんだろう。



「あの、どうかしましたか」


「いやぁ…戸張くんて、本当に……」


「本当に…なんですか」


「んー…ひみつ」


「えぇ…?また気になる言い方する…」



気づけば俺たちは、駅前の交差点にいて。
ざわめく夜の雑踏の中。



「うん。ずっと気にしてて。俺のことで、頭いっぱいにしといてよ」


「っだから、それが嫌なんですって…!」


「あははっ」



先輩の笑い声だけが、やけに響いた。