あまつさえ、愛だとか。


「じゃあ、これ部室に運んでくる」


「あぁ、今週の鍵閉め当番戸張(とばり)だっけ。んじゃあ後はよろしく」


「うん。また明日」



松本に返事をしてから、使っていた機材を両腕に抱えたまま廊下に出た。
上履きの音が湿った廊下にキュッと鳴り響く。
午前中の晴れ間とは一転して、とんだ土砂降りになったものだ。
二階堂先輩は今日という日を待ち望んでいたのだろう。
天候に似合わないキラキラした笑顔で「撮影日和だな」と喜んでいた。



「ふっ…二階堂先輩も好きだよなぁ、この活動」



自然に笑がこぼれてしまうほどには、今日の二階堂先輩は気合いが入っていたと思う。
演出に関わるロケーションにも役者のセリフにも、作品に関する全てのことに対して熱を持っている。
そんな二階堂先輩は、やっぱりかっこいい。



【五月雨の懸想】



俺が所属する映画部での今年の制作中の作品で、男子高校生の恋模様を描いている。
二階堂先輩は、その脚本家と監督を兼任している。
二年生にしてその役割を担っているのだから、本当に凄い。
ものを作ることに対する情熱は、きっと部員の中でもピカイチだろう。
かくいう俺も、二階堂先輩の作る作品に憧れて入部した人の一人だが。