あまつさえ、愛だとか。


「…先輩が、自分をどう思うかは先輩の自由です。でも…」



溢れて、止まらない。



「俺が先輩を思う気持ちは、誰になんと言われようと変わりませんよ」



俺が今先輩に抱いている、この曖昧で、不確かな気持ちすらも知って欲しいだなんて、思ってしまったんだ。



「っ…あーあ…やっぱり敵わないなぁ…」



潤んだ瞳で、ふにゃりと笑う。
赤く染まった頬に伝う一筋の涙。
それを拭おうとしたけれど、阻止されてしまった。
気づけば、俺より一回り大きい手のひらが覆いかぶさっていて。
その指先から中枢へ、じわりじわりと熱が伝染していく感覚に陥る。
そう思った時にはもう手遅れで、すぐさま体中が沸騰したかのように熱くなっていた。



「っあ…あの…っ?二階堂せんぱ…」


「やっぱり…君の魅力は、俺が独り占めしてもいい?」


「っはぁ…?」



急に何言ってるんだこの人は。
先程までの憂いを帯びた二階堂先輩はどこへ行ったのか。
涙を流したと思えば、今度はいきなり手を握ってきてそんなことを言う。



「聞いて、戸張くん。俺のこと」



けれど、そう言った二階堂先輩の表情はどこか不安げに見えて。



「…いくらでも聞きます。だから、そんな顔しないでください」



触れられた指先を絡めとり、きゅっと強く握った。



「っはー…カッコよすぎるよ、戸張くん」



二階堂先輩は困ったように、それでいて嬉しそうに笑う。