あまつさえ、愛だとか。


そんな思いでちらりと隣を見てみれば、バチッと視線が合って思わずそらしてしまった。

なっ…んで、こんなタイミングよく…いや、悪いの間違いか…?
さっきまでの平常心も、ただ目が合うだけでいとも簡単に崩れる。
…カメラの前では、制御できるのに。
二階堂先輩の目に直接映っているのだと思ったら、もうダメだ。
自分がどんな顔をして先輩を見ているのか…なんて。
そんなことばかりに気をとられて、いつも通りができなくなってしまう。

そんな俺を見かねてなのか、そうでないのかわからないが、二階堂先輩はいつも通りにこっと微笑んだ。



「戸張くんは、時間とか…遅くなっても平気?」



***



舞台の幕が上がるときの高揚感を、初めて生で実感した。



「『どうして…?わからない…わからないわ。貴方が私を愛する意味など、どこを探しても見当たらない』」



「『私が貴女を想うこの熱こそが、生きる意味だ。理由だ。それだけでは、足りないか?』」



演者の吐く息一つ一つが、こちらにまで届いてきそうな臨場感。
煌々と輝くライトも、そこに落ちる一筋の影も、瞬間に表情を変化させる。



「『けれどいつか、その熱もじき冷める。私はずっといつまでも、誰かに焦がされていたいの』」