あまつさえ、愛だとか。


「たしかに戸張は上手いけどさー、俺のことは誰も褒めてくんねーの?」



そんな中で、仏頂面の奴がひとり。



「あはは、面白い顔してるね松本くん。撮ったげようか」


「うわー、全然嬉しくないっす」



すかさずカメラを手に取る二階堂先輩と、げんなり顔の松本。
2人は部長副部長の仲でよく相談し合っているが、ずっとこんな感じの雰囲気だ。
誰を相手にしても先輩は食えない人で、それは同い年の黒田先輩に対しても相変わらず。

そんな二階堂先輩が見せた涙には、どれほどの感情が詰まっていたのだろう。
…俺には到底計り知れない。
でも…だからこそ、二階堂先輩のことをもっと知りたいと思った。
彼がどんなことを思い、どんなふうに表情を変えるのか。
一歩踏み込みたいと、そう思ったんだ。

そんなことを考えてぼうっとしていたら、黒田先輩が「なら…」と、ある方向を指さした。


「今から、褒められる場面でも撮りに行くか」







(那月のシュートを止められず、息を切らす)



「『っはぁ…はあ…っ…お前…素人に、手加減っ…なしかよ…っ』」


「『ははっ…!翔太はほんとに体力ねーなぁ』」



(馬鹿にする那月の方を睨みつけて言い返すが、その場によろめく)



「『はぁ…っ、那月が、体力バカなだかだろっ…』」


「『あ、翔太っ───』」


「『…っと、大丈夫か。ふらついてんぞ。あんま無理すんなよ?』」