あまつさえ、愛だとか。


「俺が言ったんだよ。戸張くんの芝居に、ますます磨きがかかってるって」



どきり、その言葉に肩が跳ねる。
二階堂先輩の優しい声で言われると、なんだかどうして落ち着かない。



「あぁ、褒め散らかしてたぞ。昨日いなかったのが惜しいと思うくらいにはな」


「そっ…そう、だったんですか…」



昨日散々褒めてくれたのに、それをわざわざ黒田先輩にまで…?
…どうしよう、嬉しすぎる。
飛び跳ねたくなる衝動を抑えて、代わりに手をぎゅっと強く握った。
もちろん、直接言ってもらえることも凄く嬉しい。
だけど、自分がいないところで言われる褒め言葉ほど嬉しいものはない。
二階堂先輩は普段は優しいが、カメラを触ると別人のようになることは部内以外でも有名な話だ。
1度、撮影中に女子たちが二階堂先輩に話しかけたときの、凍った視線と冷めた声。



「見て分からないかな。撮影中なんだけど」



と言われた女子たちの怯えた顔といったら…思い出すだけでゾクリとする。
とにかく、二階堂先輩は作品に関することでお世辞は言わない。
そんな人が…と思えば思うほど、嬉しさは増していくばかりだ。