あまつさえ、愛だとか。


つい先日に梅雨入りしてから、晴れ間を見る機会がめっきり減った。
ここのところは曇り空か、その隙間から漏れる日差しぐらいしか目にしない。
かといって、ザーザー降りとまではいかない雨模様が続いている今日この頃。



「んー…雨上がるの待ってたら、日が暮れそうだね」



二階堂先輩は、さっきからずっと空を見上げてはしょんぼりしてを繰り返していた。

俺は俺で、また違うことを考えている。
……絵になるなあ、と。
部室の窓辺での立ち姿だけを見ると、やっぱり二階堂は役者向きのスタイルをしているなと思う。
計算しつくされた整った顔にすらりと伸びた長い足。
この人がカメラの前に立てば、一気に華やぐのではないだろうか。




「なら、撮れそうな場面だけでも先に撮っちゃえばいいんじゃないのか」



「黒田先輩、お疲れ様です」



そんな中部室のドアを開けたて提案したのは、黒縁メガネをかけた長身の先輩である黒田先輩。



「お疲れ。昨日はいい撮影になったらしいな」



わしゃわしゃと骨ばった手で頭を撫でられ、若干戸惑う。



「えっ…あ、はい…ありがとうございます?」



黒田先輩は用事があり、かつ出番がないから昨日は現場にいなかったはず。
なのに、なぜそんなことを知ってるんだろう?