あまつさえ、愛だとか。

「『“好き”なんて無責任な言葉、よく誰にでも言えるな。そんで本気にされて悩んでるとか…阿呆じゃないの』」


(女子生徒が立ち去っていった後、隣の那月に蔑んだ視線を向ける)


「『お前にカンケーないじゃん。ってか、それで本気にする方がよっぽどアホだろ』」


(那月のセリフに鼻で笑う)


「『はっ、サイテーだなほんと』」


(自覚した那月への恋心からくるヤキモチを表情に滲ませる)



「『あの子たちに同情するよ。みんな…こんなやつに、騙されてんだ』」







「────カット!!」



前方から飛んできた勢いのある声に動きを止める。
指定のカーディガンをプロジューサー巻きにした監督気取りの男子…もとい、二階堂蓮翔は「んー…」と唸っていた。



「…翔太が那月を思う気持ちに、もう少し色を出して欲しいな」


「色…ですか」


「あー…難しいこと言った。ごめん、えっとね…」


「いや…わかります。…リテイク良いですか」


「…よし、やってみようか。最初からいける?」



その言葉に頷き合い、もう一度カメラの前に立つ。
ひとつ、深呼吸をしてから口を開いた。



「『“好き”なんて無責任な言葉、よく誰にでも言えるな───』」



***



窓の外を見ると、すっかり日が落ちていた。
撮影機材を片付けながら、さっき言われた言葉を思い出す。



『うん…うん、随分と良くなってるよ。さすがだね、戸張くんは。この調子で頑張って』