夢の中の少女

 その夜、写真を見つめながらベッドに横たわっているうちに、僕はいつしか眠りに落ちた。
  
 夢の中で会った優希は泣いていた。その涙を見て、僕の頬も濡れていることに気づく。言葉はいらなかった。

 優希はあの飾ってあった写真を手に持っていた。気付いたら僕の手にもあの写真が握られている。

「これ……」——優希が写真をこちらに差し出す。

「うん……」——僕は優希の手に自分の持っている写真を近付けた。

 二人の持っている写真の断面がぴったりつながった。

 それを見た優希は膝をつき、嗚咽を溢した。それを見た僕の頬をつたう流れも更に勢いを増す。僕は、優希のそばに同じように膝をつくと、その肩をぎゅっと抱きしめた。優希の濡れた目が僕の目と交差する。

「やっぱり……私達」

「うん、僕たちは」


「兄妹だ」——二人の声が完全に揃う。そのことが否応なく事実を理解させられるようだった。

「双子のおにいちゃんか、どうりで惹かれるはずよね」——泣きながら優希が僕に言う。

「そうだね、僕も優希に惹かれていたよ」

 ——僕も泣きながらそう優希に伝えた。

「私の初恋……だったんだよ、お兄ちゃん」

「僕もそうだったよ、優希」
 二人の声に少しずつ熱が籠もる。

「もうでも恋には戻れないね、兄妹にならないと……」

「そうだね、でも、妹として大切に想うことはできるよ。優希に、お兄ちゃんとしてまた必ず会いに行く」

「ありがとうお兄ちゃん」

「もう夢じゃなくて、現実で……」

 そう言って夢は覚めた。目には涙の跡が引きつれるように残っているのを感じた。でも僕はそれ以上、泣くのはやめた。もう泣いて逃げるのは嫌だ。

 階下で祖母が朝食を作る音が聞こえてくる。今日は日曜だから、父はまだ部屋にいるはずだ。僕はあの写真を持って父の部屋に向かった。