その後も早希とは図書館でもプライベートでも交流を続けていた。
交流を深めるうちに教えてもらったのだけど、早希は本人曰く軽度の発達障害があるらしい。
見た目じゃわからないけど、人の心を察するのが苦手で、相手が嫌なこととかを悪気なく言ってしまうときがあるそうだ。それが原因で友達が少ないのだと言っていた。
正直、そんなこと私にもあるよとも思ったけど、病状には色々あるらしくて、私はあえて詳しく聞くのはやめておいた。それこそ、あまりズケズケと言って早希から嫌われたくなかったから。
そして、彼女は現在図書館の司書ではなく、非正規の司書補として働いているらしい。司書補って私は知らなかったけど、司書になる前のお仕事だそうだ。
司書には実務経験という実際に働く期間が三年必要らしくて、さらにそれが終わっても司書になるための講習を受けて試験を受けなくてはいけないらしい。そういうことを知らなかった私にとって、こういうお仕事に関してのことは未知の世界だった。
そもそも、司書の仕事は年齢関係なく勤められることもあって狭き門らしく、ほとんどの人が非正規雇用。しかも薄給で、なかなか一人で食べていくには大変なのだそうだ。
私は働きさえすればある程度暮らしていけるお金が貰えると思っていたけれど、どうもそうではないらしい。
正規非正規や職種や業種によって金額も全然違う上に求められる能力なども違うことを知って、仕事するって大変なのだとちょっとだけまた不安が押し寄せてきた。
(とにかく、まずは勉強に専念しないと)
働くためには、自分で生きていくためには、とりあえず稼ぐ方法を見つけなければならない。そのためのスタートラインに立つにはまずは勉強が必要だ。まずは勉強をして資格を取って、そこで初めて就職活動ができる。気がする。
もちろん、別に勉強しなくても就職活動はできるとは思う。でも、選択肢の幅としての意味で言ったら、自分で選べるかどうかの差が出るらしい。そもそも、現状どんな職業があって、どういった仕事があるのかもわからない私が無知のままでできる仕事なんて限られている。
だから私はただ何でもいいから稼ぐというのではなく、なるべく自分ができるやりたい仕事を選び、そこでやりがいを見出したいと思った。
そのためにも、今はとにかく勉強に専念して大学入学を目指す。それが私の今の目標だ。
(ほとんど早希からの受け売りだけど)
早希とはいい距離感で付き合えていると思う。
お互いに勉強する立場だから、邪魔をしない程度の連絡で、図書館に行ったらちょっと喋るくらいの良い関係。
同い年だから共通の話題もあって、私が意識を失っていたときの情報を教えてくれて、今まで先が見えない不安でいっぱいだったはずの気持ちが、少しずつ明るい方へ向かっているのがわかる。
お母さんにも最近は明るくて楽しそうねと言われるくらいには私も変わってきてるみたいだ。
(ちょっとずつ、レベルアップしていけばいい)
勉強も小学生の分野を終え、今は中学生の後半まできた。
でも国語や理科、英語や社会などある程度覚えるだけなものは得意なのだが、数学は因数分解や√の計算が出てきて、ちょっと行き詰ってきている。
(数字って、公式はあれどそれまでの計算する行程が苦手なのよね)
答えが一つというのは決まっているが、それに至るまでの過程がうまくいかない。お母さんにも手助けをしてもらおうとヘルプを出したが、お母さんも数学は苦手だったらしい。
こういうところはお母さんに似てしまったんだなぁと思う。実際に、得意分野は似ているし、好きな教科も一緒だ。
(遺伝なのか、環境なのか)
昔からお母さんの影響で映画は洋画をよく観たし、もちろん吹き替えではなく字幕だったし、そのおかげで英語はわりとできるほうである。
読書も元々お母さんの読み聞かせから、家にある本を読み込むようになったのがきっかけだし、大体私を構成する要素はお母さんの影響が大きい気がする。
(……お父さんは、何が得意だったんだろう)
今更ながら、お父さんのことはあんまり知らなかったことを思い出す。そういえば、いつもお父さんは仕事ばっかりで家にいないことが多かったから、あんまり構ってもらった記憶はなかった。
たまに出掛けるときはいっぱい遊んでくれてたけど、そもそも休日も仕事してることが多くて、思い出が全然なかったことに気づく。
(いなくなったら確かに寂しいけど、でも今も全然連絡ないしな)
病院で一度会ったっきり。
新しい家族がいるからと、こちらから連絡を取るようなことはしなかった。
だけど、それはそれでなんというか、私ってお父さんにとってどうでも良かったのかなとも思ってしまう。
(ダメダメ。すぐに悪いこと考えちゃう)
こういうときはつい早希に連絡を取ってしまう。お仕事中はなかなか返信がないけれど、お仕事終わりには必ず連絡をくれ、そして寝る前にちょっとだけ、一日数回でも早希とやりとりするのが息抜きになっていた。
(返信、早くくるといいなー)
そう思って待ってみたが、その日は待てど暮らせど返信はこなかった。
交流を深めるうちに教えてもらったのだけど、早希は本人曰く軽度の発達障害があるらしい。
見た目じゃわからないけど、人の心を察するのが苦手で、相手が嫌なこととかを悪気なく言ってしまうときがあるそうだ。それが原因で友達が少ないのだと言っていた。
正直、そんなこと私にもあるよとも思ったけど、病状には色々あるらしくて、私はあえて詳しく聞くのはやめておいた。それこそ、あまりズケズケと言って早希から嫌われたくなかったから。
そして、彼女は現在図書館の司書ではなく、非正規の司書補として働いているらしい。司書補って私は知らなかったけど、司書になる前のお仕事だそうだ。
司書には実務経験という実際に働く期間が三年必要らしくて、さらにそれが終わっても司書になるための講習を受けて試験を受けなくてはいけないらしい。そういうことを知らなかった私にとって、こういうお仕事に関してのことは未知の世界だった。
そもそも、司書の仕事は年齢関係なく勤められることもあって狭き門らしく、ほとんどの人が非正規雇用。しかも薄給で、なかなか一人で食べていくには大変なのだそうだ。
私は働きさえすればある程度暮らしていけるお金が貰えると思っていたけれど、どうもそうではないらしい。
正規非正規や職種や業種によって金額も全然違う上に求められる能力なども違うことを知って、仕事するって大変なのだとちょっとだけまた不安が押し寄せてきた。
(とにかく、まずは勉強に専念しないと)
働くためには、自分で生きていくためには、とりあえず稼ぐ方法を見つけなければならない。そのためのスタートラインに立つにはまずは勉強が必要だ。まずは勉強をして資格を取って、そこで初めて就職活動ができる。気がする。
もちろん、別に勉強しなくても就職活動はできるとは思う。でも、選択肢の幅としての意味で言ったら、自分で選べるかどうかの差が出るらしい。そもそも、現状どんな職業があって、どういった仕事があるのかもわからない私が無知のままでできる仕事なんて限られている。
だから私はただ何でもいいから稼ぐというのではなく、なるべく自分ができるやりたい仕事を選び、そこでやりがいを見出したいと思った。
そのためにも、今はとにかく勉強に専念して大学入学を目指す。それが私の今の目標だ。
(ほとんど早希からの受け売りだけど)
早希とはいい距離感で付き合えていると思う。
お互いに勉強する立場だから、邪魔をしない程度の連絡で、図書館に行ったらちょっと喋るくらいの良い関係。
同い年だから共通の話題もあって、私が意識を失っていたときの情報を教えてくれて、今まで先が見えない不安でいっぱいだったはずの気持ちが、少しずつ明るい方へ向かっているのがわかる。
お母さんにも最近は明るくて楽しそうねと言われるくらいには私も変わってきてるみたいだ。
(ちょっとずつ、レベルアップしていけばいい)
勉強も小学生の分野を終え、今は中学生の後半まできた。
でも国語や理科、英語や社会などある程度覚えるだけなものは得意なのだが、数学は因数分解や√の計算が出てきて、ちょっと行き詰ってきている。
(数字って、公式はあれどそれまでの計算する行程が苦手なのよね)
答えが一つというのは決まっているが、それに至るまでの過程がうまくいかない。お母さんにも手助けをしてもらおうとヘルプを出したが、お母さんも数学は苦手だったらしい。
こういうところはお母さんに似てしまったんだなぁと思う。実際に、得意分野は似ているし、好きな教科も一緒だ。
(遺伝なのか、環境なのか)
昔からお母さんの影響で映画は洋画をよく観たし、もちろん吹き替えではなく字幕だったし、そのおかげで英語はわりとできるほうである。
読書も元々お母さんの読み聞かせから、家にある本を読み込むようになったのがきっかけだし、大体私を構成する要素はお母さんの影響が大きい気がする。
(……お父さんは、何が得意だったんだろう)
今更ながら、お父さんのことはあんまり知らなかったことを思い出す。そういえば、いつもお父さんは仕事ばっかりで家にいないことが多かったから、あんまり構ってもらった記憶はなかった。
たまに出掛けるときはいっぱい遊んでくれてたけど、そもそも休日も仕事してることが多くて、思い出が全然なかったことに気づく。
(いなくなったら確かに寂しいけど、でも今も全然連絡ないしな)
病院で一度会ったっきり。
新しい家族がいるからと、こちらから連絡を取るようなことはしなかった。
だけど、それはそれでなんというか、私ってお父さんにとってどうでも良かったのかなとも思ってしまう。
(ダメダメ。すぐに悪いこと考えちゃう)
こういうときはつい早希に連絡を取ってしまう。お仕事中はなかなか返信がないけれど、お仕事終わりには必ず連絡をくれ、そして寝る前にちょっとだけ、一日数回でも早希とやりとりするのが息抜きになっていた。
(返信、早くくるといいなー)
そう思って待ってみたが、その日は待てど暮らせど返信はこなかった。



