半分のピアニスト

最後まで読んでいただきありがとうございます。
私はいつでも、完璧を求めてしまう人でした。だから、完璧であることよりも、誰かと手を取り合う不完全な美しさを書きたいと思い、この物語を始めました。
才能を失う恐怖と、それでも捨てられない音楽への執着。そんな重いテーマから始まったこの物語ですが、書き進めるうちに、零を救ったのは奏の明るさであり、奏を導いたのは零の強さなのだと気づかされました。
右手を失った零と、罪悪感に震えていた奏。二人が最後に世界大会の舞台で泣き合えたとき、作者である私自身も救われたような気持ちになりました。
一人では『半分』でしかない二人が、二人でしか鳴らせない音を見つける。その過程を一緒に見守っていただけたなら幸いです。

今もどこかで、零の重厚な左手と奏の自由な右手が、新しいメロディを紡いでいることを願って。