世界で1番好きでした。

木下(きのした)いつかです、よろしくお願いします…!」

大学1年生の春、写真研究会という名のサークルに入った。
なんで入ったかと言えば、入学式の時にチラシをもらったから。でもおもしろそうだなって思ったし、楽しそうだったし、何より気になっちゃったの。

「あ、チラシ渡した子だよね?」

だからちょっと勇気を出してみた、高校生の頃できなかったことをしてみようかなって思って。

「入会してくれてありがとう!」

マシュマロみたいに柔らかそうなほっぺが印象的でにこっと笑うとさらにふわっと柔らかい顔になる、何より覚えてくれてたことが嬉しくて。

「2年の園田桜太(そのだおうた)!」

その瞬間、パンッて何かが弾けるような気がした。
何を言えばいいのかわからなくて“はい”としか言えなかったけどこの時の私は始まったばかりの大学生活にワクワクしてたから。

「学部どこ?」
「あ、えっ、あの…四大生じゃないんです、けど…」

うちの大学は少し変わってて、同じキャンパスに四大と短大がある。だからサークルや部活は合同でするところがほとんどで。

「あ、短大生?」
「はい…っ」

ちょっと浮いちゃうじゃないかなって不安だった。
だって2年で卒業するから、活動できる期間は卒論や就活のことを思ったら2年もなくて。

「わーっ、短大生初めて喋るかも!」

それでも笑ってくれた園田先輩が眩しかった。
きっとキラキラしたキャンパスライフになるんだって、サークル活動はその一歩だったから。

「よろしくね、いつかちゃん!」


****


「来月写真コンテストがあるけど、その前に食堂に貼られる学内写真展があるから」

毎週木曜が写真研究会の活動日で、三波(みなみ)あゆ部長がピラッと1枚の紙を見せながら喋ってる。
ここはサークル棟の中にあるサークル室、だいぶ昔からある建物みたいでこの部屋も壁が剥げてたりカーテンが黄ばんでたり年季を感じる。だけど長テーブルにパイプ椅子、テレビやパソコン、モニターまであってそこはちゃんと活動してることを感じた。

「学内写真展の締め切りは来週、1年生にも出してもらうから!」

え、もうさっそく?
まだ入学して間もない上にサークル活動だって今日が2回目、いきなり出してと言われて緊張しちゃった。
さらに部員はざっと30人くらいで、テーブルの周りに席のない1年生は後ろの方にちょこんっと座るんだけど…知らなかった、短大生って私しかいないんだ。
元々短大生のが少ないし、2年で卒業するわけだから入れ替わりのスパンが早いのはそうなんだけど…私だけ短大生って大丈夫かな?扱いづらいとか思われてないかな?すごい不安になってきた、かも。

「学内写真展のテーマは自由で、今日はこのあと各々撮影して最後に品評会するから撮り終わったらここに集まるように!」

ハキハキと話す三波部長はすっごく聞き取りやすい声をしてる、なんとなく何でもハッキリ言える人なのかなって思っちゃうぐらい。カッコいい女の先輩だなぁって思う。

「じゃあ今からは外でもどこでも行っていいよ!」

思うんだけど…

「あ、1年生はカメラ持ってきてくれたよね?何かわからないことがあったら先輩たちに聞いてくれていいから!」

話しかけるにはちょっと緊張してしまう存在でもある、とも思う。
きっといい先輩なんだろうけど、ちょっと語尾が強いっていうか、勢い有り余ってるって言うか、そこが緊張してしまってどう話しかけたらいいかわからない。

「……。」

とりあえずトートバッグからカメラを取り出した。
まずは写真を撮ればいんだもんね、テーマは自由って言ってたし何でもいいんだよね?いい、んだよね…?やっぱ聞いた方がいいかな?自由って言ってもやみくもに撮ればいいわけじゃないし、撮り方とかあるかもしれないし、写真は初心者だし…
と思ってもう一度チラッと三波部長の方を見てみたけど誰も話しかけてなくてそれがさらに緊張感を増した。
誰かと話してたら盗み聞きするぐらいはしようかと思ったのに、盗み聞くぐらいならできるかなって。…盗み聞いたとこでしょうがないよね。
諦めてカメラを持って外に出た。みんなぞろぞろとサークル室から出て行くから置いていかれないように後をついて、どこか景色のいいとこでも探そうかなーって…キョロキョロと周りを見渡して思い出した、ここが写真研究会だってことを。みんなの手元にある大きなカメラたちを見て。

「!」

あれってもしかして一眼レフってやつ…?
あたかも普通にデジカメ持ってきちゃったけど、みんな一眼レフ持ってるの?そっか、ここ写真研究会だもんね!?一眼レフは必需品なんだ…!
あ、どうしよう。恥ずかしい、かも。
そんなこと知らなくて、デジカメにしちゃった。
でも一眼レフなんて高くて簡単には買えないし、これだってテキトーに持って来たわけじゃないけど…
これじゃダメなのかぁ、聞いた方がいい?これでもいいのかって、三波部長に…でもそんな初歩的なこと聞くのって言われたりしないかな、聞いてとは言われたけどそれは写真展のことであってカメラのことじゃないよね!?
えっと、どうしよう、こんな時はどうすれば…っ

「あ、それ俺も持ってる」

廊下で立ち尽くしてた私の隣にひょこっと現れた。

「使いやすいよね、それ」

園田先輩が、指をさしながら。

「あ、あの…」

おそるおそる隣を見た、デジカメを持つ手は不安で震えちゃってた。私間違えちゃったんじゃないかと思って。

「これで大丈夫ですか…?」
「え、何が?」

だって園田先輩の首元にもがっしりした立派な一眼レフカメラがかかっていたから。

「あの…、私これしか持ってなくてっ、デジカメしかなくて…っ」
「俺のもデジカメだよ」
「え!?」
「三波部長とかは自分で現像するからそこもこだわってるけど、最近のデジカメはそれに負けないぐらい性能すごいし」
「現像も自分でされるんですか!?」

すごい、まず現像がイマイチわかってないけど自分で出来るものなんだ。
どうやってやるのか全く想像つかないけど、デジカメでプリントアウトしかしたことない私はやっぱり場違いなんじゃないの?絶対間違えたかも…!

「だから大丈夫だよ」

ふふっと園田先輩が笑った。ドギマギする私を見て、声を漏らして微笑んだ。

「いいよ、全然」
「…いいんですか?」
「うちって部活じゃなくてサークルだし」
「それは…どんな違いがあるんですか?」
「部活の方が真面目に活動してるかな、活動頻度も多いし」

園田先輩が歩き出したから追いかけるように後をついて階段を下りた。すでに他の人たちは思い思いの場所へ向かったみたいで、この階段を下りて行くのは私たちが最後だった。

「だからもっと気抜いていいよ」

先に階段を下りていた園田先輩が振り返った。

「それにそんなお堅いサークルじゃないし、お気楽お遊びサークルだよ」
「…え?」
「あ、今のは言い過ぎたかも!キャンセル!」
「きゃ、キャンセル…?」

パチパチと2回瞬きをしてしまった、園田先輩が大きく腕を動かしてバツを作ったから。
それでねって笑ったの。私を見ていたずらっぽく笑う姿にちょっとだけドキッとしてしまって。

「まぁカメラなんて何でもいいんだよ、大事なのは気持ちだから!」

くるっと前を向いた園田先輩は大きく一歩を踏み出して歩いて行った。その後ろ姿を見ながらきゅっと持っていたデジカメを握りしめた。
大事なのは気持ち…、気持ちってどうゆうことだろう?デジカメでも気持ちがあればってことなのかな…??

「では今から写真品評会をします」

あっという間に時間は過ぎて何を撮ろうか迷ってるうちに集合時間になった。三波部長が前に立ってモニターを用意して、パソコンと繋げ始める。

「現像組は来週品評するから、まずはデジタル派からね!学内写真展に出そうと思ってるデータ送って」

撮影したのを全部送ると見きれないからってことで提出予定のを2、3枚…ってことなんだけどまずそんなに出す写真さえないかもしれない。
一応何枚かは撮って来たけどそんな自信のあるものはないしこれがいいって思うものもなくて、早く送らなきゃいけないのに全然手が動かない。
でも出さないのはよくないよね?自分的にまだマシなのを出しておくべき、だよね?

「もういい?品評会始めるよ」

ああぁっ、始まっちゃう!焦ったままトントンッと2枚写真を送った。でもそんなあわてて送った写真に何の気持ちも感じられるわけがなくて、モニターに一斉に映し出された写真の中では埋もれるだけで。
いい写真だったり、おもしろい写真だったら、コメントがもらえたりピックアップされたりしたんだろうけど…誰にも見付けてもらえなくて、一言も喋れないまま品評会は終わった。ただ隅っこに座ってるだけで終わってしまった。
膝の上に置いたデジカメを握りしめて、俯くことしか出来なくて。

「以上です、提出は今日の中から選んでもいいし他で撮って来たのでもいいから1人1枚は必ず提出で」

三波部長がテキパキとモニターを消して今日のサークル活動が終わった。
写真って難しい、なぁ。
どうしたらいい写真が撮れるんだろう、全然わからなくて。
私、本当にここへ来てよかったのかなぁ…


****


食堂に学内写真展の写真が張り出された。
あれからもっといろんなものを見た方がいいんじゃないかって思って、学校中を歩き回ったり普段は歩かない家の近所を散歩してみたり、なるべくカメラを持って出掛けてみた。
初めての品評会の時よりは提出できる写真にはなったかなって思うけど、そんな急に上手く撮れるようになるわけじゃないから…

「全然いい写真撮れなかったかも」

学内写真展はいいのか悪いのか全員の写真が展示されるから私のただ撮った写真も貼り出されてしまうのが難点だった。
外から入り込んで来た太陽の光が、窓際に置いてあったガラスのオブジェに反射してなんかいいなって思って撮ってみた私の写真は可もなく不可もなく過ぎて。
しかもりんごのオブジェだし、何の意味もなく可愛いからって買っただけのやつだし。

「……。」

見れば見るほど顔をしかめてしまいそう、どうしてこの写真を撮ったのか自分でもよくわからないもん。名前が貼り出されてないのが救いかも、私のってバレないし。
それに…、隣に貼り出された写真があまりに美しくて。

「すごい…」

可愛らしいピンク色の桜の向こうには真っ青な海が見えて、キラキラと太陽の光がきらめいてる。穏やかに揺れる波が、写真なのに伝わってくるみたいで。
ピンクと青のコントラスト?って言うのかな、角度的に青色のキャンバスにピンクが描かれてるみたいに鮮やかでつい見入ちゃって足を止めたくなるから。

「キレイ…」

これは誰が撮ったのかな?
写真初心者の私でも感想がスラスラと出てきて止まらなくなる、こんなすてきな写真は一体誰がー…

「あ、いつかちゃん見てくれてるの?」

後ろから呼ばれた声に胸がドキッと音を出した、じーっと釘付けになって見てたから後ろからの気配に気付かなかった。

「園田先輩…!」

食堂は広い、一気に500人以上が使えるように席が用意されている。だけどお昼休みでも何でもない休み時間はあまり人がいなくて、だから展示が見やすくていいかなぁと思って授業がないこの時間にのぞきに来た。
写真を見てるのは私しかいないと思ってたんだけど。

「この写真は…園田先輩が撮ったものなんですか?」
「そだよ、こないだの日曜日に撮りに行ってきたやつ」

もう一度写真の方を見た、何度見ても色鮮やかな1枚はそこへグッと入り込んでしまう。でも色だけじゃない、揺れる水面が心地よくて心が落ち着くの。

「すごく、キレイですね」

写真なのに水面が揺れてるみたいに思えるって、どうしたらそんな風に撮れるのかな?どんな技術なんだろ?
どうやって撮ってるのかなー…?

「本当にキラキラ光ってるみたいですよね、海が」

そんな撮り方があるのかな、私のガラスのオブジェじゃただ光ってるだけで見たことそのままって感じだもん。
でも園田先輩のは動いてる、動いてないのにそう胸に響くみたいにー…

「気持ちだから」

ちょこんっと園田先輩が近付いて隣に並んだ、自分の写真を眺めながら。

「楽しいとかおもしろいとか、怖いとかもあるか!寂しいでもいいし、悔しいとか、そうゆう気持ちを写真で発散させるんだよ」

そのまま少しだけ私の方を見た、マシュマロみたいなほっぺをキュッと上げるように微笑んで。

「そうやって写真の中に気持ちを込める!」

そしたら今度はニカッと大きな口を開けて笑った。

「ね、カメラ関係ないでしょ?」

ドキンッと胸が鳴るからつい視線を逸らしちゃって前を向いた、園田先輩の写真を見て必死に顔を繕った。キラキラ光る水面を見て心を落ち着かせたくて。

「俺のデジカメだし、だからいつかちゃんも撮れるよ」

園田先輩は簡単そうに言うけど、きっとそんなことなくて写真の中に気持ちを込めるなんて理屈でわかっても出来ることじゃない。どんな風にしたら気持ちが入るのか、まだ私には理解出来てなくて。
だけど、園田先輩の言ったことは間違いじゃないなぁとは思った。

「いつかちゃん、まっつんの見た?」
「え、松村先輩のですか?」
「そうそう、まっつんのどこかな~…あ、あれだあれ!ちょっと見てみて!」
「はい…っ」

こっちこっちと園田先輩に呼ばれて松村先輩の撮った写真を見に行った。
名前が貼ってないのに写真を見ただけでわかるのは同じ2年生だし、仲良いからかなぁなんて思いながら園田先輩が指さした写真の前に立ってじっと目を凝らした。

「あ、これは…」

女の人の後ろ姿だった。
自然豊かな川の中へ裸足で入っていく女の人の後ろ姿、この後ろ姿はどこかで見たことある…

「あ、三波部長ですか?」
「そう、三波部長!」

不安定な足場を心配そうに少し下を見て進んで行こうとしてる後ろ姿。
木々から差し込む光がキレイで、流れていく川の水が透き通っていて、そこに踏み込んでいく三波部長の背中を追いかけてるみたいな、そんな写真だった。

「もうバンバン気持ち伝わってくることない?この写真!」

撮り方はわからないけど、その気持ちはわかる気がした。
周りの自然がこんなにキレイなのにこの写真は三波部長しか見えてないみたいな、別に真ん中に写ってるわけでもないのに目を引く感じがする。
何気なく少し上がった腕とか一歩踏み込んだ足の角度とか、たぶん次の瞬間振り返るだろうなって仕草はよく見てないと撮れない。
でもそこに温かさを感じて。

「好き~~~!って気持ちが伝わってくることない?三波部長のことが」
「はい、すごくわかります目で追ってる感じが…え?」

ついつい頷いちゃったけど、今さらっとすごいこと言いませんでした?それって勝手に言ってもいいやつなんですか?

「松村先輩、三波部長のこと好きなんですか!?」

でも言われたら食いつかないわけにはいかなくて。目をぱちくりさせて聞いてしまった。

「そうそう、好きなんだよ部長のこと!」

でもすっごいケラケラ明るい声で教えてくれた。
結構秘密な話な気がするけど、そんなあっけらかんとした感じでいいのかな?松村先輩の秘密なんじゃ…

「あ、部員みんな知ってる事実だから」

私が不安そうな顔したからすぐにフォローを入れるみたいに付け足した。
みんな知ってる事実なんだ、じゃあいいのかな?いい…の?かは、ちょっと悩むところだったけど。

「こんだけ心のこもった写真撮れるってすごくない?」

それには素直に頷いた、これ1枚だけで松村先輩の気持ちはよく伝わって来たから。
しかも後ろ姿っていうのが、もっと感じるものがあって。たぶんその恋は、一方的な想いなのかなって。

「いつかちゃんはなんで写真研究会入ったの?」
「え…?」
「あ、ちなみに俺は旅行の時に撮る写真が好きでもっと普段から撮ってみようかなって思って!」
「……。」

だから園田先輩の写真は海だったのかなって思った、海に行こうって思わないとまず撮ることのない写真だから。

「いつかちゃんは?」

私、私は…私の写真に気持ちが入ってない理由はわかってる。どうして上手く撮れないのか、わかってるんだけど…

「あのっ、あ…っ、…すみません!」
「え、なんで謝ったの!?」
「すみません、私のはそんなすごい理由じゃないんでっ」
「俺のもちっともすごくないし」

不安な顔で隣を見れば園田先輩が首をかしげて微笑んだ。ドキドキと心臓が動き出すの、慣れないことに緊張して。

「わた、私は…っ」

こんな話、つまらないんじゃないかとか失礼じゃないかとか、いろいろ駆け巡って。何から話せばいいんだろうって、頭がぐるぐる回るから。

「俺が聞きたくて聞いただけだから」

園田先輩の声は少しこもったような声をしてる。だからかな、そこに温かい気持ちがこもってる気がするの。

「すごい理由を聞きたいんじゃないし、いつかちゃんが入った理由を聞きたいんだし」
「私が入った理由…」
「そうそう、それに所詮お遊びサークルだからね!恋人欲しくて~!とかでもいいんだよ」
「いいんですか!?」
「まっつんは三波部長に一目惚れで入ったんだし」
「え!?」

そうなんだ、じゃあ松村先輩は入学した時からずっと三波部長のことが好きなんだ…!
それってもう1年以上想ってるってことかな?すごい、それでずっと写真研究会を続けて…

「で、いつかちゃんが入った理由は?」

やっぱりドキドキした、園田先輩に見られるとドキドキするの。

「私、話すの苦手で…話しかけるのはもっと苦手で…っ」

だから目は見られなくて、ちょっとだけ俯いちゃった。

「高校生の時、それで…うまく友達が出来なくて、1人でいることばっかで」

みんなが楽しそうにしてるのをいつも後ろから見てた。見ることしか出来なかった、どうしたらその中に入っていけるのかわからなくて。

「だから大学生になったら、…何か変えられないかなって…サークルとか入ってみようかな、って思ってた時に…」

静かに深呼吸をして、きゅっと手に力を入れる。
こんな話、誰にもするつもりなかったからドキドキする胸の音が止まらなくて。

「園田先輩が写真研究会のチラシをくれたんです」

それは偶然、私が通りかかっただけ。
ただそこを通ったから差し出されたチラシだったけど、私にとってはそれが大学生活の始まりに思えてた。

「だからすみません!写真にはあんまり興味なくてっ」
「マジか!」

ぺこっと下げかけた時、園田先輩がわぁっと大きな声を出した。密かに思ってたけど園田先輩は結構声が大きい、だからしーんとした食堂でよく響く。

「じゃあ、あれがなかったら写真研究会入ってないってこと!?」
「え?あ、そう…ですね、たぶん」

下げるのを忘れた頭を上げたら相変わらず大きな口で笑ってた。
私を見て、笑ってたの。

「てことは俺がいつかちゃん写真研究会に呼んだってことだ!」

そんなに嬉しそうに笑う理由こそないと思った、私が入ったとこで何も変わらないし写真のことなんて全然わからない私が入ってもきっと邪魔なだけじゃないかって。

「新入生勧誘成功してるじゃん!」

だからそんなに大きな口を開けて笑わなくたって、いいのに。
胸の奥から熱くなる、ずっとドキドキしてた心臓がさらに加速していく。

さっきのドキドキとは違う、胸がきゅぅっとなる初めての感覚だ。
なんだろう、このドキドキは。

どうして園田先輩といたらドキドキするんだろうー…?

「あ、このあとサークルのみんなとご飯なんだけどいつかちゃんも来ない?」
「…えっ!?」