追い出された白猫姫は、王太子にお猫様として溺愛される

二日目。
ミレイユは公爵家の周辺を探りに行った。

門の近くで気配を消すように様子を窺っていると、昼前に馬車が出てきた。
窓から見えた顔は、ミレイユの姿をした魔女だ。
婚約式は昨日終わった。では今日はどこへ向かうのか。王宮か、それとも別の挨拶回りか。
ミレイユは反射的に馬車を追おうとしたが、馬の脚はあまりにも速く、白い車輪の軌跡だけを残して、あっという間に見失ってしまった。

(どこへ行ったの……王宮?もう婚約が成立したということ?)

もっとしっかり、スケジュールを読み込んでおけばよかったと後悔しても遅い。

時間が経てば経つほど、魔女の偽装は固まっていく。
本物のミレイユが『私が本物です』と訴えたところで、魔女がミレイユの姿をしている以上、誰も信じないかもしれない。
そう思うと、背中の毛がじわりと逆立つような不安が走った。

(早くしないと)

でも、どうすればいい。
猫のまま王宮へ乗り込む?
誰に話せる?
どうやって魔法を解く?

問いばかりが増えて、答えはひとつも出てこない。
ミレイユは考えに考えたが、結局何もできないまま夜になった。
その夜も、教会の軒下で眠った。