あらくも、みやびに

フォークダンス。高校最後の体育大会。私は頭を抱えた。
生まれる時、全てのステータスを美術に振り分けてしまった私は音楽も運動も得意ではない。入場のときに男女ペアになるのだが、ペアになった同じクラスの男子は私に「イケメンと踊ってるって言われるんじゃない?」とヘラリと笑った。実際、彼は人気者なので、否定することもなく、その言葉に力なく笑い返す。ノリのいい曲の後にワルツを入れてみたという体育教師を恨めしそうに見る。
練習が始まった。入場のペアの彼は楽しそうに踊り、私はなんとかついていく。ノリのいい曲は彼の身体をなぞるかのように楽しく流れていた。何人かペアが変わる。
ワルツになり、相手の足を踏まないように踊る私。ワルツのホールドは流石に年頃の男女には恥ずかしく、ギクシャクするのを感じた。だが、次のペアを見た瞬間、私は音が消えたかのように時が止まったのを感じた。隣のクラスの男の子。色素が薄く、優しそうな見た目が特徴な彼。恥ずかしがらず、楽しげにダンスを踊っている様子がとても優雅だった。私の前に来る。あわあわと慌てて近づく私に小さく「任せてね。」といい、ホールドする彼。その一言を違えることなく彼は私を優雅にワルツの世界にエスコートした。彼と私の周りでメロディが踊る。あの瞬間、間違いなく私の世界には夢物語のような舞踏会があった。
いまだに、私はあの舞踏会が忘れられないのだ。