あらくも、みやびに

どうか最後のときだけは。
小さな地下の舞台。そこが君との出会いの場所だった。「どうかチケットをもらってくれ。」と友人に頼まれて、行った舞台。それは私の全てを狂わせた。スポットライトに照らされ、この世で一番光り輝く君。カーテンコールの端で、ニコッと笑う君の、笑顔の魔法にかかってしまった。その魔法は、星屑のように散らされていたらしく、君はどんどん高みへ行った。大きな舞台になるたびに、遠ざかっていく。それでも、君が高みにいくのを心躍らせ、見上げていた。君は私をかけらでも知ってくれていただろうか。
だが、ある日から、君はスポットライトの下から消えてしまう。どうやら、どんな人でも見ることが叶う小さな四角い箱に囚われてしまったようだ。そこは明るいが、君を照らすには物足りないな。
誰にでも見れるはずなのに、私からは、徐々に見えなくなっていく君。高みに行くことに、心を焼くなんてしたくない。君は羽衣を奪われず、纏って上に行くべきなのだ。それでも、ただ一つだけ願ってしまう。出会ったあの場所でなくてもいい。君は、板の上で死んでくれ。