あらくも、みやびに

『適当』が嫌いだ。
そつなく、つまりは、中の上。それの自分が大嫌いだ。何でもこなせて、何も成し遂げない。
唯一長けているのは、人の嘘を見抜くこと。
視線の動き、返事の間、それで全てが分かってしまう。察して動けば、好かれるが、好きにはなってもらえない。そんな損な立ち位置でダラダラと生きている。今日も、ため息をひとつ。そして、隣の席を見た。机に覆い被さるようにしてる彼。何も真面目にしないのに愛嬌だけで世界をうまくまわしてる、私からすると何も面白くない人。
「なんで俺、文化祭の実行委員なの?」
「この前、先生に指名されて『隣の人とがんばりまーす。』って言ってましたけど。」
本当に迷惑な人だ。どうせ、私相手なら、まるっと任せてしまえると考えてるんだろう。
「ちなみに、先生からいくつか案を言われたりもしてたんだけど、覚えてます?」
彼がゆっくり視線を泳がす。『考えている』ということが、分かる仕草。所詮、私しか覚えてない話。この人は覚えていないだろうと推測し、ため息をつく。
「覚えてない…」
私は、ぽつりと言った彼の表情を見て、固まった。彼は笑顔で、ひとつ嘘を隠している。
「…だからさ、放課後、2人きりでゆっくり話そうよ。」
少し近づき、私を見て、甘い声でそう言った彼。私の頬が熱を持つ。私は彼の「覚えていないという嘘」を見抜いてしまったのだ。