あらくも、みやびに

ホイップクリームが好きだ。飲み物に乗っているものは、特に。
よく利用するカフェがある。静かでゆっくりと執筆ができ、そしてホイップクリームの乗った飲み物がある。店員が私を覚えはじめていた頃、新しい店員が増えていた。今日からなのだろうか、と考えながら、いつものように注文しようとする。馴染みの店員が私を見て、にこりと笑い、新人の店員と代わった。自然な流れだったが、私を見て代わることを決めたようだ。普段の様子からして気が長い私は、新人店員が初めて注文を受けるのには、ぴったりだ。なるほど、と少しゆっくり注文する。注文を聞き、飲み物を作り始める新人店員。隣では先輩店員が見守る。その様子に私の心もそわそわした。
「ここ、少ないよ。」
先輩店員が、新人店員から見えないコップの奥を指した。新人店員は少し焦ってホイップクリームを足す。通常より盛り盛りになり、私をチラリと見た。私は、にこやかな顔で「ありがとうございます。」と言い、飲み物を受け取った。いつもの席にいると、近くをうろうろする新人店員。注文した客の席が分からなくなったようだ。その注文は常連のもので、どこに座っているか私は知っていた。ふと、目があう。私は小さくその客のテーブルを指した。新人店員は目を見開く。私が口の端をニヤリとあげると、小さくお辞儀をして歩いて行った。
「先ほどはありがとうございました。あと、これ、クリームすくうのに使ってください。」
新人店員が私にスプーンを差し出す。ありがたい。スプーンを受け取ると、新人店員が仕事に戻る。ふふ、と私がわらうと、ホイップクリームも笑うようにぷるぷると揺れた。