あらくも、みやびに

私は幼い頃から寝ているときに夢をよく見た。ただこれが何ともおかしなものが多かった。変だということに気づいたのは、小学生の頃だ。当時、流行った本があった。ある朝、私は「今日が発売日だ。本屋に並んでいる夢を見た。」と言った。半信半疑の母は、私と兄弟を連れて本屋に行った。すると、夢で見た通りに最新刊が並んでいたのだ。発売日を調べる術も分からない私が言い当てたのが、奇妙だったのか。兄弟はこの出来事をよく覚えているらしい。
不思議な夢は、これだけではない。母方の祖母の家に行った時に、私は高熱をだしたことがあった。苦しむ私は夢を見て、「来いと呼ばれている。」とだけ両親に言ったらしい。両親はその時、ハッとしたそうだ。先祖の墓参りを忘れていたらしい。焦って両親が墓参りをすると、私の熱は引いた。亡くなった祖父が夢に出てきたこともある。なんでも「甘いものばかり供えるな。」とのことだった。「そんなことか。」と思い、仏壇に煎餅を置いた私を祖母は不思議そうに見ていた。
先日、父方の祖母が夜中に亡くなったのだが、亡くなる当日、私は夢を見ていた。祖母が「やっと、やっとだ。」と言いながら黒い車に乗るのだ。直感的に私は「起きたら祖母は亡くなっているだろう。」と感じた。祖母は認知症が進み、人と会話をすることも難しくなっていた。そしてホームに入った後も泣いてることがあったそうだ。だから「やっと。」だったんだろう。だが、この夢は生涯、家族に話すことはない。