あらくも、みやびに

「ねぇ、それ、やらせてよ。」
休日、おうちデートなんて可愛い名前に思えないほど、だらけた昼下がり。彼と私は、昼寝をした後だった。ずるりと起き上がると、自分の長い髪が肩をくすぐった。
「買い物…行く?」
「ん、ん…。」
私の声かけに枕に顔を埋めながら、返事のようでそうでない声を出す彼。勝手に肯定ととり、身支度を整えようとする。すると彼は髪をまとめようとする私を見て、やらせてくれと言うのだ。寝ぼけている彼を少し見つめた。
「…いいよ。」
冷蔵庫の中身を思い浮かべながら、そういってヘアゴムを渡す。彼は、私の髪をサラリと撫で、まとめていく。少しぎこちない動きが私の首筋をなぞり、くすぐったさに身じろぎをした。
「はい。ありがとう。」
ハーフアップにされた自分の髪を見て、お礼を言う。私の後ろに立つ彼は、無言で後ろから抱きしめて、のしかかってきた。
「重いよ。」
彼の腕をぺち、と叩く。反応はない。うなじに、ちゅ、とリップ音が落ちた。一瞬、その箇所が唇の形に熱くなる。
「ねぇ。」
「…ちょっとだけ。」
振り返った私の不満げな様子を気にするでもなく、彼は私の髪からヘアゴムを取った。パサリと落ちてくる髪。私はため息をつく。今日は冷蔵庫の中の余り物で作るしかない。