星空を見る願いは、思わぬ形で叶えられた。
十二月のある夜、延徳帝が麗華の部屋を訪ねてきたのだ。
夜の十時を回っていた。彼女が読書をしていると、扉が叩かれた。
「今夜は流星群が見られる」
「本当ですか!?」
麗華は急いで斗篷を羽織り、踵を返す延徳帝の後を追う。
延徳帝は宮廷の最も高い塔へと続く階段を登った。
塔は天文台として使われており、大きな窓が空に向かって開かれている。
塔の上に出ると、冷たい空気に包まれた星空が、息をのむほど美しい。
帝都の灯りの中でも、今夜は特別に澄み、星々が鮮明に瞬き、その間を流れるように光の筋が走った。
「ああ……きれい……」
麗華は感嘆の声を上げた。
流星だった。長い尾を引いて、夜空を横切っていく。
もう一つ、また一つ。
次々と流れる星々。
麗華は欄干に両手をつき、空を見上げ、胸の中で何かがゆっくりと満ちていく感じがした。
「ありがとうございます。こんな日があるとは知りませんでした」
「徳偉が調べた。今年最大の流星群だそうだ」
「また、徳偉さんですのね」
「あいつは気が利く」
「陛下がお好きなのですね、徳偉さんのことが」
延徳帝はわずかに顔をしかめた。
「好きというような話ではない。有能だということだ」
「よく似た意味だと思いますけれど」
麗華は流れる星を目で追いながら、言った。
「昔から、こういう光るものが好きでした。蛍も、祝砲も、星も。消えるから美しいのかもしれません」
延徳帝は黙っていた。
「陛下は、何かそういうお好みのものはありますか。美しいと感じるもの」
「……夜明け前の空だ」
「夜明け前」
「完全な暗闇でも、朝の青でもない。その間。一瞬しか続かない」
麗華は延徳帝を見つめると、彼は空を見たまま言った。
「それが美しいと思う」
「陛下も消えるものがお好きなのですね」
延徳帝は何も答えなかったけれど、麗華にはそれが否定でないことがわかった。
二人は流星群が流れる間、塔の上に立っていた。
麗華が体の冷えで震え始めると、延徳帝が麗華の斗篷の上から自分の外套を掛けた。
何も言わずに。
麗華も何も言わず、ただ、外套の重みと温かさを感じながら、流れ続ける星を見ていた。
三つ目。叶った。
十二月のある夜、延徳帝が麗華の部屋を訪ねてきたのだ。
夜の十時を回っていた。彼女が読書をしていると、扉が叩かれた。
「今夜は流星群が見られる」
「本当ですか!?」
麗華は急いで斗篷を羽織り、踵を返す延徳帝の後を追う。
延徳帝は宮廷の最も高い塔へと続く階段を登った。
塔は天文台として使われており、大きな窓が空に向かって開かれている。
塔の上に出ると、冷たい空気に包まれた星空が、息をのむほど美しい。
帝都の灯りの中でも、今夜は特別に澄み、星々が鮮明に瞬き、その間を流れるように光の筋が走った。
「ああ……きれい……」
麗華は感嘆の声を上げた。
流星だった。長い尾を引いて、夜空を横切っていく。
もう一つ、また一つ。
次々と流れる星々。
麗華は欄干に両手をつき、空を見上げ、胸の中で何かがゆっくりと満ちていく感じがした。
「ありがとうございます。こんな日があるとは知りませんでした」
「徳偉が調べた。今年最大の流星群だそうだ」
「また、徳偉さんですのね」
「あいつは気が利く」
「陛下がお好きなのですね、徳偉さんのことが」
延徳帝はわずかに顔をしかめた。
「好きというような話ではない。有能だということだ」
「よく似た意味だと思いますけれど」
麗華は流れる星を目で追いながら、言った。
「昔から、こういう光るものが好きでした。蛍も、祝砲も、星も。消えるから美しいのかもしれません」
延徳帝は黙っていた。
「陛下は、何かそういうお好みのものはありますか。美しいと感じるもの」
「……夜明け前の空だ」
「夜明け前」
「完全な暗闇でも、朝の青でもない。その間。一瞬しか続かない」
麗華は延徳帝を見つめると、彼は空を見たまま言った。
「それが美しいと思う」
「陛下も消えるものがお好きなのですね」
延徳帝は何も答えなかったけれど、麗華にはそれが否定でないことがわかった。
二人は流星群が流れる間、塔の上に立っていた。
麗華が体の冷えで震え始めると、延徳帝が麗華の斗篷の上から自分の外套を掛けた。
何も言わずに。
麗華も何も言わず、ただ、外套の重みと温かさを感じながら、流れ続ける星を見ていた。
三つ目。叶った。



